だって、誰かが、ノーバディはいつか消えてしまうかわいそうな存在だって言ったから。
「ロクサス。もし、また会えたら、その時はーー」
涙を流して消えゆく君とした約束は、同情からか、それとも本当の愛情からだったのか。
マスターゼアノートとの決着をつけ、カイリを探しに旅立ったソラを見送って。みんな、とりあえず自分のいるべき世界のかけらへ戻ろうということになった。
「フィリア、帰ろう。俺たちの世界へ」
そう言って差し出された二つの手。えっ、と瓜二つの顔が互いを見やる。
ヴェントゥスとロクサス。先程からなんかあいつ俺に似てるなぁ……みたいな顔で、チラチラ互いを見ていた二人だ。
「フィリアは、俺たちと旅立ちの地で育ったんだぞ」
「フィリアは俺と一緒にいると約束したんだ。だから俺たちと帰る」
「俺だって、そういう約束、ずっと前にしたよ!」
だいたい、おまえ、なんでそんなにフィリアと親しげなんだよ! と、同じ顔が同じ表情で睨み合っている。状況だけみれば私がとんでもない尻軽のように見えるけど、私も記憶があったりなかったりした時期で、ヴェントゥス、ロクサス、どちらともと交わした「いつまでも一緒にいようね」的な約束は本当に本気で真摯に誠実な気持ちから言ったものだったりする。
約束をしたからには果たさねばなるまい。しかし、私の身はひとつ。ソラとロクサスのようにレプリカで二つに分かたれることなどできないし。
「どっちを選ぶの、フィリア!」
俺たちのほうだよな!! と、同じなのに可愛らしい顔とカッコいい顔に詰め寄られる。えーと、えーと。
「ディスティニーアイランドかな!」
リクともそんな約束したし、ソラもカイリもいないディスティニーアイランドにひとりで帰らせるのかわいそうだし。
「おまえ、そういうところだぞ」
ぽかんとしてる二人に代わり、アクセルが呆れ顔で呟いた。
2019.9.3
\やるやるやる〜/
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