「ここ、いただき」

「あっ、あーっ!私も狙ってたのに……!」

「そこ、俺のレベルMAXパネル。通行料ちょうだい」

「う、ううう……っ!」

「はい、キャプテン・ダークあげるよ」

「いっ、いらない!いらない!……ああっ!勝手に買い取っちゃった……」

……まぁこんな感じで、今日も俺のボロ勝ち。

勝負回数は10を越えたあたりから数えてない。

フィリアは必死にがんばってるけど、素直だから何度やっても俺が勝てる。

……性格が出る、ってやつかな……?

「……また負けたー……」

また俺がゴールしたら、フィリアが俯いた。

「フィリアはキャプテン・ダークに好かれすぎだよ」

「違うよっ全部ヴェンが押し付けてきたんじゃない!」

「そうだったっけ」

フィリアがむーっと俺を睨むけど、無視してコマンドボードを終了する。

頼まれるまま何度も勝負して、もう寝ないといけない時間だった。

でも、俺がコマンドボードから出ようとしたら、フィリアが引き止めてきた。

「……ヴェン、もう一回だけ!」

「だめ。今日はもう寝ないと「お願い!あと一回だけー!」

フィリアが必死に頼んでくる。

あのさ……俺だって男なんですけど……。

夜遅くまで好きな子と一緒にいるのって、正直、こう……そーゆー考えが浮かぶ事もあるわけで……。

しかも、フィリアは寝るギリギリまで勝負できるようにって、風呂に入ってやってくるから・・・湯上りの姿とか、ふわっと香ってくる石鹸のいい匂いとか……正直やばい。

なのに、当の本人は全くの無防備だし。

信用されている、って言えば、響きはいいのかもしれないけれど……。

はぁ……俺、フィリアに男って認識されてないのかも……。

「ヴェン、お願い……!」

こんな俺の気持ちなんて知らないで、フィリアがまだ頼み込んでくる。

「はぁ……じゃあ、次は負けた方が勝った方の命令をなんでも一つ聞く!って条件ならいいよ」

罰ゲームでもつければ、諦めるだろう。

「なんでも?うん、わかった!」

「え」

フィリアは俺の予想を裏切って、あっさりとすぐに頷いた。

なんでも、なのに……。

本当に俺って……、フィリアになんて思われてるんだろう。

ちょっと……いや、かなりへこむかも……。




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