パーティーを組んだはいいものの、低ランクへ合わせる日々は想像以上に退屈だ。かといって高ランクの任務に連れていくと死んでしまうかもしれないしなぁ。高難易度の任務がらみの知り合いから頼み込まれてそちらの任務へ参加するとフィリアはとても寂しそうな顔をするため、うかつにパーティーを組もうなどと誘ったせいだと申し訳ない気持ちになった。
しかし、フィリアは不器用なだけで、キーブレードは使えるのだし才能があるはずだ。自分に合った戦い方がわかっていないだけ。現に自分がちょっと助言をしただけで、メキメキと腕をあげもう少し上のランクの任務もこなせるようになった。
「フィリアは、どうしていつもそんな露出の高い服着てるの?」
「前に、仲良くなりたい女の子たちが読んでた雑誌の服が、こんな服だったから……変かな?」
「変じゃないけど、もっと他の服が似合うと思うよ」
ついでに、自分好みの服が載ってる雑誌を渡してイメージチェンジもしてもらった。
(服装も関係していると思うけど)フィリアが強くなったことで、周囲が彼女を見る目も変わった。役に立たないと見下していた者たちが、本当にフィリアに仲間にならないかと誘うようになった。
残念なことに、いつかルーキーだった男もそうだ。あの時は大声で彼女の悪口を言っていたくせに、実は相当な未練があったらしい。任務で遭遇したらしく、嫌がるフィリアへ付きまとい「やめて。もう、あなた嫌い!」と盛大に断られている場面を目撃した。逆上した男は暴力をふるおうとした。慌てて割って入る。
「ブレイン!」
フィリアはパッと表情を明るくし、男はいら立ちをあらわにした。
「なんだ、おまえ!」
「この子は俺とつきあってる。手を出すな」
睨むと、男はウッと尻込み、負け惜しみを吐きながら去っていった。
殴り合いにならなくてよかったと息を吐くと、フィリアも地面にへたりこんでいた。怖かったんだろう。
「大丈夫か? ごめん。追い払うためにあんなことを」
フィリアは首を横に振って、
「いいの。むしろ、本当に、そうならいいのに……」
と言った。夕日の中でもわかるほど顔を真っ赤にして、とてもかわいい。
こちらはすでにフィリアが本当に好きになっている。そうじゃなきゃ、これほど関わったりしない。
一方で、彼女はいつも助けてくれたり、優しくされると簡単に相手を好きになる性格なのも知っているため、どうにも同じ熱量の好きか自信や確信がもてなかった。
「本当にする?」
試しに問うてみると、彼女はうん! と、嬉しそうにうなずいた。
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