それからしばらくブレインと組んだけど、長くは続かなかった。彼と私はやはりレベルが違いすぎた。ブレインは優秀なキーブレード使いの集まりにスカウトされたり、もっと高難易度の任務に誘われているようだった。しかし、私が来ることは歓迎されない。足手まといというものは、いないほうが役に立つ存在なのだ。


 結局またひとりぼっちになって、イージーランクの任務をこなしていたらブレインが気にかけてくれた。「努力する力があるのだから、きみは正しい努力をすればもっと力が伸びるはず」と言ってくれた。力が弱いなら弱いなりの立ち振る舞いがある。魔法も威力が低いならかく乱に使うとか、剣の間合いの取り方だとか――ただ強い人のマネをするだけではなく、その方法が本当に自分に合っているのか見極めなければならないと教えてくれた。
 目から鱗とはこういうことか。それからすぐにノーマル程度の任務もこなせるくらいに成長できた。ブレインってすごい。もっともっと一緒にいたい。憧れじゃ足りない。恋愛の意味で好きという気持ちを自覚した。


 それからは、なぜか更に他の男子から声をかけられるようになった。困っている時に助けてくれる人には弱い。一番はブレインと一緒にいたいけれど、彼のレベルについていけるようになるのはまだまだかかるだろう。
 ある日、以前に下僕になれとか言ってきた、悪口を言いふらす男子と再会してしまった。人を見下す物言いをするこの人は、今の私なら普通に組んでやってもいいと言ってきた。腹が立って強気に断ったら逆上されて、強引なことをされかけた時、ブレインが助けてくれた。

「この子は俺とつきあってる。手を出すな」

 嘘でもうれしいと思った。
 悪口男子を追い払った後、ブレインに「本当に、そうならいいのに」と言った。「本当にする?」と言われ、うなずいたのだけれど……。


 ブレインと付き合うことになった! 当初はすごーーーく嬉しかったけれど、特になんの進展もなかった。キスどころかハグもない。ハグどころか手もつながない。手をつなぐどころかまず会えない。会えないどころか連絡すらとりあわない……。
 ユニオンリーダーたちが喧嘩しているらしいぞ、と不穏なウワサが流れだした頃、任務の難易度がはね上がった。ノーマルと聞いていたのにハードレベルの魔物がまじりだした。毎日ヘトヘトになってこなしていたが、任務の数は増える一方だった。ルクスのノルマも上げられた。マスター様たちにとって、価値があるのは強いキーブレード使いのみ。弱小なキーブレード使いたちのことなど全く眼中にないのだろう。
 ある日の任務ではケタ違いに強い魔物が紛れていて、ついに死んじゃうと思う瞬間がきた。助けてくれたのは白いふわふわ髪の男の子。昔に見たテレビのヒーローみたいに長くて赤いマフラーを首にまいていた。彼、エフェメラはブレインのようにとても強いし、助けてくれただけでなく、しばらく私とパーティーを組んでくれた。




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