猫の日なので、ハロウィンの猫耳魔女の恰好でみんなを驚かせちゃおう。
思いつきに従って着替え、ルンルン気分でみんなの元へ向かっている途中だった。
目の前に広がる闇の回廊。出てくる銀髪、褐色肌の青年。ゼアノートがくつりと笑むのを見る前に急ブレーキ。回れ右して全速力で逃げようとし、尻尾をぎゅっと掴まれた。鋭い痛みに悲鳴があがる。

「ふぎゃっ!!」
「なぜ逃げる」
「当たり前でしょ。あ、ちょっ、きゃあ!」

片手でシッポをぎっちり掴み、もう片手でシッポの毛並みを撫でさすってくる。スカートがめくれそうになって慌てて押さえた。えっち。いじわる。きらい。きらい!
こっちの気持ちなんて全く気にしない好奇心の塊は、きらきら瞳を輝かせて観察してくる。

「体温がある。毛並みは本物と同じか。他にはどんな機能がある」
「やめ、やだ、シッポ、そんなに強くしちゃ、イタイ!」
「生きているように動く。神経があるのか?」

シッポを掴んだまま、ゼアノートは帽子でぴょこつく猫耳に気づき、更に手を伸ばしてくる。毎度のことながら、ヤダヤダと抵抗してもあっけなく思い通りにされるのはとても悔しい。

「ん、牙もあるのか。よく見せろ」

せっかくの猫の日なのに!
腹が立ったので、手袋ごしに思い切り指を噛んでやった。





R5.2.22




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