だが懲りない (W)
「このお城、おばけが出そう……ヴェン、絶対手を離さないでね」
「うん」
フィリアがブルブル震えながら俺の腕にしがみついてくる。怖がってるフィリアには悪いけど、俺的にはすごく役得、至福。
「あ、今、変な影が」
「ひっ!」
「妙な物音が聞こえなかった?」
「ううぅ……」
しがみつかれるから、抱きつかれるになった。額をいやいやと擦りつけられるのがたまらなくイイ。
これ以上フィリアが怖がったらどうなるんだろう。押し倒されたりするんだろうか。
俺は興味のままに――。
「あっ、あそこに三色のほたる」
「もうやだぁっ!!」
「がっ!?」
フィリアが叫ぶと同時に、ゼロ距離でサンダガがビリビリビリビリッ!!
脅かすのは良くないことだ。反省した。
……次は、もっと上手くやろう。
2012.5.24
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