みんなでのんびりお城で過ごしていたある日、前庭の階段に一通の手紙が置いてあった。雪のように真っ白で上質な紙に、美しい金の文字で“招待状”と綴られている。しかし、宛名も差出人も特にない。なので、とりあえず読んでみることにした。

「『ごきげんいかが。突然ですが、今夜お城で舞踏会が開催されます。皆様をぜひご招待させていただきたく』わぁ……舞踏会の招待状だ!」
「見せて」
「あっ!」

 読んでいる途中で、いつから横にいたのか――ヴェンにサッと取り上げられる。ヴェンは剣呑といってもおかしくないほど鋭い目つきで何度も文を読み返し、しばらくしてやっと笑顔になった。

「花嫁を探す舞踏会じゃなくて、花嫁が見つかったことを祝う舞踏会だって。みんなで行こう」
「やった! 私、舞踏会に行ってみたかったんだ。早速、アクアと準備しなくっちゃ」
「準備はいらないよ。そのままで充分だって」
「え、でも――?」

 ドレスはないが、それでも普段着で舞踏会へ行くなど聞いたことがない。それでもヴェンは「いいから、いいから」とキーブレードを呼び出して、さっさとライドの形にしてしまった。
 促されるままテラとアクアを呼び、鎧を纏ってシンデレラたちと出会った世界へ。……まさか、鎧の姿で踊るなんてことにならないだろうか。見栄えよくマントもついているし。ありえそうで、ちょっぴり不安になった。


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