純白の柱で造られたコロシアムの前に、武装した男たちの黄金像が置かれている。門番のように剣を交差させて今にも戦いを始めそうな迫力に、口をぱかーっと開いて見とれてしまった。

「すげぇ」
「たいしたことないよ。僕たちのお城は、これよりもっとすごいんだから」

 ドナルドがフフンと得意げに笑う。つい先ほどまで隣でくちばしをぐわーっと広げていたくせに。あきれた視線を送ると、そのドナルドのすぐ後ろでフィリアが頭を片手で押さえていることに気がついた。固く目を閉じ、きつく眉根を寄せている。

「フィリア、どうしたんだ?」
「あっ……ほんのちょっとだけ頭が痛かっただけ」

 フィリア慌てて愛想笑いを浮かべるが、脂汗を浮かべた苦悶をぬぐえない表情はとても"ちょっと"では済まなそうだ。

「辛いなら休んでいたほうがいいんじゃないかな」

 グーフィーの気づかいに、フィリアはハッと顔をあげ表情を引き締める。

「だっ、だいじょうぶ。へいき」
「そうは見えないけど」
「もう治ったよ。ほら、元気でしょ」

 いぶかるドナルドに、よたよたと元気アピールをはじめるフィリア。真っ青な顔で無理やりつくられた笑顔を見せられても説得力に欠けていた。足元はおぼつかないし、こんな状態ではハートレスに遭遇したら戦うどころか、逃げることすら無理だろう。
 ドナルドとグーフィーが視線をよこす。説得しろと言っていた。

「この世界は俺たちで探すから、フィリアはグミシップで休んでいてよ。何かあったら、チップとデールとも通信できるし」
「ソラまで……」

 悲しそうに見つめられ、ギクリとする。おそろしい魔物と戦うより女の子のこういう表情のほうが苦手かも。笑顔は力になるのだけれど。

「そんな顔色じゃ、心配で連れていけないよ」
「…………わかった」

 しばし視線の攻防の後、フィリアは気の毒なほどしょんぼりとし、頷いた。




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