プルートを追いかけても追いかけても追いつけず──次第に景色は夕方になって、夜になって、白くて大きな月が昇ったのでテントを張った。
魔法で焚き火を起こし、ちょっとしたキャンプをする。非常食を食べながら、ジミニーから別行動中にあった面白い話や、レオンたちの話などを聞かせてもらった。
「もし会えなくなったとしても、なにもかも忘れるわけじゃない──」
あの怖い顔のレオンが、どんな表情でそんな優しい言葉を言ったのだろう。エアリスたちにも親切にしてもらったし、きっと心配をかけてしまったから、直接会って無事を知らせたいと考え、しかし世界の壁で二度と会えないことを切なく思った。
「さあ、もう寝よう」
ドナルドが焚き火をブリザドで消したので、ふわふわな草をベッド代わりにして、それぞれ寝支度を始める。本当はドナルドをぬいぐるみのように抱っこして眠りたいが、彼には恋人のデイジーがいるし、ドナルドはグーフィーを枕にしているし──チラッとソラを見ると、彼はいつものように、組んだ腕を枕にして草の上に寝転んでいた。ソラとはちょっと離れた場所に陣取って、スカートに気を使いながら横になった。
世界を救って早数日──食料も残り僅か。行けども行けども一本道と草木ばかりで何も現れない世界。もしかしてこれしかない世界に閉じ込められてしまっているのでは。一本道をぐるぐる回っているだけになっていたりして──怖い想像にブルッと震え、首を振って目を瞑り早く眠るようにする。
「みんな起きろ! フィリアも。起きて!」
眠っていたら、唐突にソラから揺さぶられて起こされた。まだ眠い。ドナルドとグーフィー、ジミニーもむにゃむにゃ言いながら起きあがった。
「どうしたの、ソラ?」
「さっき黒いコートの変なヤツに会って、そうしたら別の道が現れたんだ!」
説明を受けても分からない。「?」をいっぱいにしながら眠り眼をこすりつつ彼についてゆくと、確かに。寝る前は一本道だったのに、今は右方向へ一本、道が伸びている。
「寝る前にこんな道あったっけ?」
「なんだか、怪しくない?」
「どこへ繋がっているんだろう」
グーフィー、ドナルドと共に疑うも、ソラはすでにその道を進み始めている。
「ソラ、先に行かないでよ!」
「待って〜」
ドタバタとふたりもソラを追いかけ始めてしまったので、自分も行くしかない。けれど、ソラの進む道の果てを見やった時、まだ見えないけれど予感がした。とても悪い、非常に嫌な予感が──。
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