水色の空、白い雲、緑輝く草木に囲まれた整えられた土の道。
 しばらく四人で歩いていた。道の果ては見えず、道中に民家も見つからない。なんなら、鳥の一羽も飛んでいない。普通に見えて、とてもありえないどこかの世界。
 グミシップまでのセーブポイントはことごとく失われ、この道を進むしかなかった。ポーションも使い切り、わずかにテントが残っている状態。きりつめても一週間もつかどうか。

「これから、どうしよう?」

 いつもは仕切る側のドナルドがクチバシを開いた。

「リクと王様を迎えに行かなきゃ」

 頭の後ろで手を組み、心に決めているのだろうソラがキッパリ言った。すかさず、グーフィーが「でも」と問う。

「光への扉なんて、どこにあるのかなァ」
「私たちがいるここだって、どこなのかも分からないし……」

 ちょっと沈黙した後、全員ではぁ〜〜と項垂れる。
 圧倒的情報不足。アンセムを倒せば全て戻るなら、どうして自分たちは戻してくれないのか。ソラはキーブレードの勇者の使命を果たし、ちゃんと世界を救ったのに……。
 ふと、ソラが「ん? あ!」 と声をあげたので、みんなでそちらを見た。テク、テクと歩いてくる一匹の大きな犬。

「プルート!?」

 呼ばれて、その犬がこちらを見た。口に緑色の封筒を咥えている。

「あのわんちゃんのこと、知っているの?」
「王様の飼い犬だよ。僕たちと一緒に旅に出たんだけど、トラヴァースタウンでいなくなって……」

 ドナルドの説明を聞きながら、ポカンと犬を見つめる。グーフィーがプルートへ「今まで、どこにいたんだい?」と話しかけている。トラヴァースタウンにいたのなら、どうしてこんなところを、さも散歩コースかのようにのんびりと歩いているのかしら。
 プルートが咥えている封筒をよくよく見ると、見覚えのあるマークが。

「それ、王様の!?」

 グーフィーが声をあげる。

「おまえ、王様に会ったのか?」

 ソラの問いかけをからかうように、プルートが道の先へ走り出す。
 もしかして、リクと王様が近くにいるかもしれない。繋がりを感じ、みんなパッと笑顔になる。

「みんな、行こう!」

 ソラを先頭に、プルートを追いかけ四人で走り始めた。
 ディスティニーアイランドの砂浜で、ソラ、リク、カイリと共に走った頃を思い出す。
 ソラが好きで、カイリのことも大切な友だち。まだハッキリと気持ちの切り替えはできていないし、彼の心が別の人に向いていることはとても悲しいけれど、時間が経てばきっとこの気持ちは友情に戻るはず──。

「フィリア、早く!」
「──うん!」

 ソラに呼ばれて、走るスピードをあげた。






 



 END 

 




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