カイリのおかげで人間の姿に戻れたものの、闇が深まる世界に成すすべなく一度ホロウバスティオンから逃げ帰り、トラヴァースタウンへ避難した。
 それからシドの助力もあり、再びホロウバスティオンへ。一度目でも十分薄気味悪い雰囲気だったのに、今はハロウィンタウンに負けないほど不気味さに溢れていた。道を塞いでくるハートレスは強い種類のものばかりだし、キレイだった城は戦闘であちこちボロボロのままだ。
 こんな状態のホロウバスティオンは、プリンセスたちの尽力でこれでもマシな状態だったようだ。図書館でビーストとベルが再会したときは、彼の苦労を知っているため、見ているこちらも嬉しかった。

「ビースト。ベルに会うためにがんばってたもんな」

 礼拝堂では残りのプリンセスたちがいた。プリンセスは他の世界で会ったことのあるアリスやジャスミンをはじめ、全員ものすごい美女で、「キーブレードの勇者、来てくれたのね!」とキラキラとした眼差しで歓迎された時は思わず頬が熱くなった。
 アンセムの居場所を訊ねると、オーロラとシンデレラからは「鍵穴から溢れた闇の中に消えてしまった」との目撃証言。ジャスミンとアリス、白雪姫からは「アンセムはフィリアを抱いていた」と聞き仰天する。

「フィリア。アイツに捕まったのか」
「ハートレスはずっとフィリアを狙っていたから、アンセムもそうなんじゃないかなぁ?」
「いったい、どうして……」
「心配だけど、今は鍵穴を閉めることが先だよ!」

 ドナルドに急かされ、足を止めずに大広間へ。紋章の形に造られた入口から闇の淵へ入ると巨大なベヒーモスが待ち構えていた。パワーはすごいが動きは鈍く、弱点っぽい雷をまとった角を集中的に攻撃すると、存外あっさり倒すことができた。
 その後、いつの間に追ってきたのか。トラヴァースタウンにいたはずのレオンたちが大広間に集まっていて、アンセムさえ倒せば、このバラバラでめちゃくちゃになった世界の状態は元に戻ることを教えてもらった。世界の壁も再建築されてもう会えないかもしれないと話があったが、絆を信じて先に進むのだと背中を押してもらう。

「もし会えなくなったとしても──なにもかも忘れるわけじゃないさ」
「心がつながっていたら、またいつか、めぐり会える」

 レオンとエアリスの言葉に頷き、いろんな色が汚らしく混じり合った空間の奥に光る鍵穴へキーブレードを向け、施錠する。これでひとまずこの世界に溢れだす闇を食い止めることができたはずだ。

「次はアンセムを倒さなくちゃ。リクとフィリアが待ってるぞ」

 でも、アンセムは闇の鍵穴からどこへ行ったんだ?
 プリンセスたちともう一度話すと、新情報あり。

「時空のかなたに、とても大きな闇が現れたの」

 ジャスミンがきりだし、オーロラが怯えた表情を見せる。

「世界を呑みこむ、闇の中心です。アンセムは、きっとそこに向かったのでしょう」
「だったらグミシップで乗りこんで、アンセムもハートレスもまとめてやっつけてやるさ」

 その後、プリンセスたちから魔法の力を強めてもらいながら、アンセムさえ倒せばみんな自動で元の世界に戻れるだろうという話を聞いた。
 みんなを助けるために、アンセムを倒そう。
 仲間たちと目くばせし、頷きあってグミシップに乗り込む。




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