「俺の声、聞こえる?」
居場所を見失い、暗闇の中でひとりでいると、突然、幼い男の子の声が聞こえた。
どこからだろう。声のする方を探すと、小さいが暖かな光が溢れているのを見つけた。
あぁ――懐かしい。
導かれるまま、光のもとへたどり着く。まだ未発達であるものの、ぬるま湯のように優しく、懐かしい場所だった。
俺たちの心は足りない部分を補って、同じ時に生まれた。
「そっか」
でも、また俺は眠らないといけないんだ。
「悲しいの?」
また、君の心と一つになっていい?
「それで、君が悲しくなくなるなら」
ありがとう。
吸い込まれるように彼の心のなかへ入ってゆく。悲しみが安らぎ、暖かに包まれて、心は静かに眠りについた。
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