高校へ入学した。皆別々の高校だった。別にそれについては不満はないけれど、何だかやはり物足りないなあ、とは思うようになった。別にバスケは好きじゃないし(むしろ嫌い)だけれど、赤ちんがしろっていうからバスケ部に入った。何故か一年上の氷室辰也ってヤツが色々話しかけてくる。最初はどうでもいいとか面倒くさいとか思ってたけど、色々甘やかしてくれるから嫌にはならなかった。だけどやっぱり何か足りない。どれだけ練習を頑張っても、褒めてくれる人がいない。いや、褒めてくれる人はいる。室ちんが褒めてくれる。でも何かが違う。でも褒めてもらうのは嬉しいし、素直に受け取った。赤ちんから電話がきた。そこでの生活はどうかとの事だった。特に不満はないから別にー、とだけ言っておく。でも赤ちんの声が聴けてすごくうれしかった。これで明日も頑張ろうとおもう。次の日の練習はいつもより体が軽かった。いつもよりほんの少しだけど。室ちんがいっぱい褒めてくれた。嬉しくて赤ちんにその事を言ったら「…そうか」とちょっと悲しそうな声でいわれた。どうしたんだろう赤ちん。何だかとても悲しい気持ちになって「赤ちん元気出して」と言ったらそうだな、とやっぱり悲しい声でいわれた。俺もすげー悲しかった。なんでだろ。
次の日福ちんにその事を話したら「お前そいつの事好きなんじゃねーの?」って言われた。俺赤ちんの事好きだよ?って言ったらあー、と唸ったあと「こう、キスしてえとか、傍にいてえとかそんな感じのヤツだよ」またよくわからなくなってん〜?と首を傾げていたら「甘いアル。もっとコイツにはストレートで言った方がいいアル。つまりセック」そこまで言って福ちんにとめられてた。何だったんだろう。悩んでいたら福ちんがまた「あれだ、お前俺達にキスとかしてえと思うか?」「やだ、絶対やだ」「だろ?じゃあソイツにはどうだ?キスしてえとか思うか?」「………うん」「そういう事だよ」なんかちょっとわかった気がした。素直にありがとーって言った後、だけど俺も赤ちんも男なのにな、変なの。と思ったけど目の前の二人が「敦もこんな事考えるようになったんだな…」とか言ってるからそっとしておく。


それから帰ってシャワー浴びてベッドに転がってから色々考えた。でもほとんど赤ちんの事で、赤ちんの事考えると心臓がきゅうってなる。でも全然嫌じゃないし、やっぱ赤ちんってすげー。とか思ってたら何だかうずうずして電話を掛けてしまった。思えば自分から掛けるのはこれが初めてかもしれない。

「…敦?」
「赤ちん!」
「どうした?敦から電話なんて珍しいな」
「んー、赤ちんの事考えてたらなんか赤ちんの声聞きたくなっただけだしー」

「そうなのか」と昨日の悲しそうな声とは違って今日は嬉しい時の声だ。何か良い事あったのかな?赤ちんが嬉しいと俺も嬉しいなー、と思った事を正直に言うと「そうだな、僕も敦が嬉しいと嬉しいよ」はは、と電話の向こうで赤ちんが笑ってるのが分かって俺も笑った。赤ちん、すきだなあ、あいたいなあ。赤ちんもちょっとは会いたいと思ってくれてるかなあ。「あ、つし」?どうしたの赤ちん、様子がおかしい。

「…声に出てたぞ、全部」
「え」
「…」
「…」

ぶちん、思わず電話を切った。あれ?声にでてたの?あれが?ぜんぶ?…うわー、恥ずかしー、うわー。ぼふん、顔を枕にうずめてばたばたした。やばい、引かれちゃったかな。もう電話してこなかったらどーしよ、うわ。そんなの絶対ヤダ。どうしよ、う。ブブ、投げ捨てるように置いた電話がまた鳴った。赤ちんだ。どうしよ、でも赤ちんを無視するとか俺絶対出来ないし、結局でた。何もいわないけど。

「…敦」
「…」
「その、聞きたいんだが」
「…」
「さっきのは…、…本当か?」
「………嘘が気付かずに口から出るわけねーし」

最もな正論を言ったとおもう。すげー恥ずかしくて電話をまた切りたくなったけど、ぐっと我慢した。誰かえらいってほめて。

「意味はわかって、」
「分かってるし!馬鹿にすんなし!ちゅ、ちゅーしたいの好きだし!!」

今度こそ電話を切った。やっちゃったと思ったけど仕方ない。もう寝よう。電源を切って布団にもぐりこんだ。ごめんね赤ちん、心で謝りつつとりあえずこの状況から逃げるように眠りについた。



「…嘘だろ」

電話を切られた。二回もだ。だが怒りは沸かず、ただただ嬉しさというのか、信じられない。敦が?嘘だろう。夢か?思わず頬を思いっきり殴ったが夢ではないらしい。敦が?嘘だろ。信じられない。ちゅーしたいの好き?嘘だろ、信じられな…。いや、夢じゃないんだこれは、そうだ。………嗚呼、どうしよう。頬が完全に緩んでいる。とりあえず電源は切ってあるだろう敦の携帯にメールを送る。来週そっちに行く。というとてもシンプルな文で。送ったあとは思わず嬉しくて練習を5倍にしよう、と決意して眠った。明日は秋田へ行く方法も考えないとな。どうしよう、僕は今物凄く幸せだ。


しかしここから氷室という存在に赤司は悩まされる事になり紫原は遠距離恋愛がつらく赤司に電話をする度に「赤ちん会いたい」と言うため赤司もそれにまた悩まされ(僕も敦に会いたい敦可愛い敦…)という状況に陥り練習中に「敦に会いたい…」と言いながら練習を5倍にするなど、それから紫原が氷室に告白されたと知り赤司がそのままその日の内に秋田に行きバスケ部全員の前での「結婚しよう敦」宣言により色々ありえない状況に陥るのは二人はまだ知らない。










(121006:淑女)



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -