いつからだっけなあ、またねって言うのがばいばい、に変わったのは。

中学の卒業式、確かにそこでは別れのあいさつはしなかった。またすぐに会えると思ったから。でも現実はやっぱりそう上手くはいかない。秋田と京都。遠すぎるこの距離を埋めるものはなにもなくて、ただ繋がっていると言えばこの携帯一つでやっときれそうな何かが繋がっているようなものだった。けれどそれも終わる時には「またね」が「ばいばい」になった。電話がおわった後の空しさは電話をする前よりもひどいものであって、心にぽっかりと穴があいたみたいだった。現に赤司、という存在が紫原の視線からは消えてしまった。嗚呼、ここにきてから卒業式に「好きだ」と言われたのを初めて後悔した。初めて「俺も」って言った事を後悔した。初めてあの夜、抱かれてしまった事を後悔した。しかしあの夜、確かに二人は幸せに満ちていたのだ。確かにあの時「敦」と初めて名前で呼ばれて事が嬉しかった。だからもう一度電話越しではなく、ちゃんと自分を見ながら名前を呼んでほしいし、キスだってもう一回してほしい。それでもって、もう一度抱いてほしい。気付けば静かに涙が流れていた。携帯にはぽたぽたと涙が落ちる。その涙を拭いて、携帯を握りしめ、両手で文を打つ。打つ際にもぽたぽたと涙があふれてきてよく携帯の画面が見えず、ちゃんと打ててるかもわからないが、それでも打った。打ち終わったあと、送信ボタンを押すまで何分もかかった。涙はとまらない。悩みに悩んだ、けれど決心はした。だから、せめてもに「ばいばい」と言って送信ボタンを押した。


さよならの意味をおしえてくれないか



From:紫原敦
Sub
ject:無題
あかちん
こめんね ばいばいするね


121004 赤紫



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