最初は黒ちんが俺を連れ出した。その影の薄さを利用して放課後に俺を連れ出してマシバでシェイクを飲んだり黒ちんのおすすめの本を教えてもらったり。本はよくわかんなかったけどとりあえず黒ちんと飲んだシェイクおいしかった。ああそういえばシェイクを飲みあいっこした後黒ちんが誰にでもこんな事しちゃだめですよって言ってたけど何だろ。まいう棒ももらった。

その次は黄瀬ちんが俺を連れ出した。黒子っちとばっかりずるいッス、とか言いながらこっそり誰も知らない抜け道(たまにファンを遠ざける時に使うらしい)を利用して一緒にカフェでお茶してそのあとちょっと服屋にいってこーでぃねーと?してもらって、黄瀬ちんは何着ても似合うねーって言ったら抱き着いて放れなくてちょっとうざかった。新作のまいう棒ももらった。

その次の次は峰ちんが俺を連れ出した。俺にも付き合え、とか言って強引に俺の手を引っ張ってったからちょっと痛い。でもバスケ馬鹿の峰ちんの事だからバスケするのかなって思ってたら違ったらしい。最近峰ちんがバスケに興味無くしてるっぽい。何となく峰ちんにはバスケ馬鹿が似合うから仕方なく俺から誘ったら目を輝かせながらバスケした。勝負はつかなかったけど、楽しかったらしい。なんかちょっと刺激的らしいまいう棒もらった。

峰ちんの次はミドチンが俺を連れ出した。今日のラッキーアイテムは紫色の巨人なのだよとか言ってた気がする。でも話す事とかないしただ帰り道をぶらぶら歩きながらまいう棒をかじるだけだった。あ、でも途中自販機でミドチンがおすすめのおしるこだ、って耳を赤くしながらおしるこくれた。あと手見てみたいなって興味本位で言ったら渋々見せてくれた。後で聞いたけどミドチンが手見せてくれるとか本当奇跡なんだって。そんな事ないけどなあ。おしるこ味まいう棒もくれた。


さっちんに今までの事話したら「ムッくんすごいね」なんて笑ってた。皆意味わかんないよねー。まいう棒はおいしいけど。そう言ったらさっちん、今度は笑うばかりで何も言わなかった。元から考える気も悩む気も全くない為この話題は頭の隅っこにでも置いておこうと次のお菓子を開けようとした所だ。

「敦」

あつし?聞きなれた声に聞きなれない呼び名に内心首を傾げながらもその声を方へと首をまわす。やっぱりその声の主は頭の中で思い描いた通りの人物である、が。確か赤ちんはたまに俺の事を敦、って呼ぶくらいでいつもはむらさきばら、って呼んでたんだけどなあ。うーん。考えながらもとりあえずなあに?と返答を返すが赤ちんが少し怖いくらいの無表情でこちらによってきた。何だかよくわからなくて助けを求めるようにさっちんの居た所へと視線を移したけどそこにはさっちんのさの字も見当たらない。練習中の皆もびっくりした顔でこっちを見てる。

「敦」
「赤ちんどうしたの?」
「ねえ、敦。敦は誰が好き?」

俺が座っている為に赤ちんから見下ろされる形になっている所為か、赤ちんが怒った顔をしているようにみえる。おかしいな、顔はにこにこしてんのにね。なんか皆ぞろぞろ集まってきて「もちろん俺ッスよね!?」「バッカ、俺に決まってんだろ」「ここは人事を尽くしている俺なのだよ」「紫原君、僕ですよね?」皆意味わかんないしこえー。

「…敦、正直に言ってごらん?」
「んー…んんー?…んー…、…赤ちんかなぁ」

ぴきり、何か音がして周りを見渡したけど別に何も壊れていない。何だったんだろう、って思ってもう一度皆を見たら赤ちん以外なんか固まってるし、赤ちんは赤ちんでそうか!ってぴかぴかの笑顔で言いながらさっきとは違って俺と目線を合わせながら頭撫でてくれてるし。くすぐったい。

「な、何でッスか!!赤司っちに至っては何もしてねーっしょ!」
「納得いかねえ!!」
「……」
「緑間君、ラッキーアイテム落ちてます。……紫原君、どうして赤司君なんです?」
「ん〜〜…うん、だって赤ちんだし。俺、赤ちんが一番だもん」

流石俺の敦だ可愛い!!わしゃわしゃと頭を撫でた後にちゅ、となんか赤ちんにちゅーされたし、なんか皆叫んでるし。なんよくわかんないけどこの後赤ちんからまいう棒1年分もらった。たぶん一ヶ月で食いきっちゃうけど。


そしてみんなは幸せにくらしましたとさめでたしめ


「敦は本当に可愛いな」
「あれ?赤ちん俺の事敦って呼ぶようになったのー?」
「ああ、僕たちは晴れて恋人どう」
「ストーップ!!そしたら俺たちにも名前で呼ぶッスよ!」
「今回は黄瀬君に同意します」
「……お前ら」
「ま、俺たちは諦めるとは一言も言ってねえ訳だしな」
「今日の順位は1位でラッキーアイテムもあるのだよ。負けるはずがない」
「…敦、立って」
「ん?うん」
「よし、そのまま」

逃げるぞ
!!に、逃がすか追いかけろー!!
あれ?全くめでたくなくね?

121219:リクエスト

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