※本当にぬるい




「んっう、赤ち、やめてってば、」

さっきからちゅうちゅうと、非常に眠い事もあり紫原は本気で拒んでいた。しかし眠い為にあまり体に力が入らない。否、片手はばっちり赤司に掴まれている。紫原が本気を出せば片手で赤司を持ち上げるぐらい簡単だろうが先程からこの、いつものねっとりしたものじゃなく、くすぐったいという表現が合ったキスをしたりたまに口の中で舌を弄ばれたり、どうも手が出せない。今はそういう気分じゃないし眠たいしで紫原は非常に参っているのを赤司はきっと気づいているだろう。ちらりと紫原を見た後に「敦は何もしなくていい」そう言うにしても紫原は絶対後日立ち上がるのもやっとな程に腰が痛くなる事を知っている。

「今はやりたくない…」

ぼそりとやっと本音を呟けた紫原に赤司は一度考えたが、やはりしたくなったのは仕方がない、これは男である故に仕方ない。男子中学生であったらもう性欲を持て余している時期だ。それに加えて恋人が自分の家でお泊りをしているというのに我慢が出来るものかと理論を赤司は紫原に伝え、それに対して紫原は(…今日は何もしないっていったのに)と心の中で反論をする。口に出したらいつもより後日、腰の痛みが格段に増すからだ。いつの間にか明日の事を考えている時点でもう流され始めちゃってるのかと紫原はその考えを飛ばすように頭を左右に振ってから「でも今日はだめ」ストップをかける。こうなった赤司を止めた事は一度も無い。…一度も無いが。

「…そうか、なら仕方ないな」

あれ?と紫原は自分の耳を疑ったが赤司が大人しく自分の隣へ布団を被って戻っていくのを見て更に目を疑った。明日は吹雪でも降るのかと思ったがとりあえず願った通りにはなったのだから自分も大人しく赤司とは反対側を向いて目を閉じた。これで明日の休日は腰が痛まなくて済むと。


…なんて思っていた。


「……」

何かを期待した自分が馬鹿だったと紫原は自分の愚かさをここまで実感した事は無い。恐らくこれからも無い。つう、と腰を撫でられ揺れる体を無視するように目を閉じるが、赤司はその指をそのまま下へと持っていく。あ、これはやばいと本能的に感じるも感じるだけでは意味がない。赤司の指は既に下着の中まで来ていた。軽く撫でられ紫原の口からは普段の自分ではないような声が出る。やはり理性が残っている状態で自分のこんな声を聞くのは耐えられないものがあり赤司に対してもうやめてという意味を込めて振り向くとそこには心底楽しそうな顔をした赤司がいた。赤ちんの馬鹿、と紫原が言えば赤司は聞こえない振りをしてその行為を続ける。紫原が何を言ってもそれに対して聞く耳を持たない。自身は既にたっている。や、だと半ば反射的に出た言葉に対して赤司は先程までの手つきが嘘のように自身から手を離す。え?と紫原は目を開けて赤司を見ると「嫌なんだろう?」と言わんばかりの顔で見ていた。既に目は覚めている。今更寝ろと言われも溜まった熱を我慢して寝るなんてできない。助けを求めるように赤司を見るが知らんぷりをされ、そのまま寝ようと目を閉じた。紫原は泣きだしそうになるのを堪えて赤ちん、と呼ぶが返事はこない。ぼろりと涙が出てきて「赤ちん、赤ちんとするから、おねがい」縋るように抱き着いて赤司を見るとその表情はにやり、と普段の優しい紫原のいう赤ちん、とはとてもかけ離れたものだった。もちろん紫原は後日腰の痛みで丸一日動けない事になるのだ。


おやめなさい


121218

- ナノ -