「敦美、今度の日曜は空いているか?」
「うん、空いてるけどー?」
「ああ、なら一緒に買い物に行かないか?」


二つ返事で了承をしてから俺は日曜日がたまらなく楽しみになった。それを同じクラスの黄瀬ちんに話したら「デートじゃないッスか!!」なんて大声で言われてうるさいから捻り潰したくなったけど。デート?と首を傾げる俺に対して黄瀬ちんは一人で盛り上がっていたからどうでもいいか、とお菓子を口の中で潰した。だけど黄瀬ちんはそんな俺を見て「紫っち、赤司っちをきゅんってさせたくないッスか」なにそれ、赤ちん死んじゃうの?



日曜日、いつもより相当早く起きた俺を褒め称えてからちらりと横に用意してあるワンピースを見た。正直、親が勝手に買ってきたこの一生着ないと思われていた服を着るとは思わなかった。あとは黄瀬ちんから教えられたなちゅら、なちゅ、なちゅらるめーく?も。まだ閉じようとする目を擦りながら洗面台へと急いだ。


From:紫っち
Subject:無題

こんなんでどー?

From:黄瀬ちん
Subject:Re2:

完璧ッス!!
紫っちちょー可愛いッスよ!


黄瀬ちんからのメールを見てほっとした後「ありがとー」とだけ打って返信し、時計を見た。約束の時間よりも少し早かったが準備は完了してしまったし、何だか居てもたっても居られなくなって早めに家を出た。


「…赤ちんもうきてる」

赤ちんらしいっていうか、いざ赤ちんを目の前にしてしまうと自分の格好がおかしくないかとか目の前のディスプレイに映った自分を見て確認してしまう。おかしいな、別に他の人とだったらジャージでも全然平気なのに。どうしよう、と意味も無く慌てていると後ろから「紫原?」と聞きなれた声が聞こえてきて大袈裟に肩が跳ねてしまう。

「赤、ちん」
「…驚いた。本当に紫原だったんだな」
「……やっぱおかしい、よね」

予想外の反応にぎゅうっとワンピースを掴んだ。恥ずかしくなって逃げたくなったが赤ちんが俺の手を取ったからびっくりして赤ちんを見ると「とても可愛くて、驚いてしまったんだよ」ふわりと笑う赤ちんに、俺はむしょうに恥ずかしくなって顔を隠すように俯いた。けど、赤ちんが「顔を上げないと見えないじゃないか」と強制的に俺の顔を上げさせたのだ。そのまま歩き出した赤ちんの手にはまだ俺の手が握られていたけど、離さないとでも言われているかのようにぎゅっと力を強めた為、そのまま俺も赤ちんの手を握り返して進んだ。


女の子に変身したい


「紫原、クリームついてるよ」
「んー?どこ?」
「ここだよ」
「んんー!別に自分でもとれたの、にー…」
「そうか(かわいいなあ)」


121211:リクエスト
全然甘くないうえに黄瀬が出しゃばってるのはどういうことなんですかね

×
- ナノ -