「さて、赤司君」
「何ですかね、氷室さん」
「何で君がここにいるのかな」

あくまでにこにこと微笑みながら問いかける室ちんの手に握られているのりしおはぐしゃ、ばり、ぱあんと音を立てて破裂した。もったいない、なにすんの、と声を掛けようとしたけど赤ちんが俺の額にちゅーして「もちろん、愛しの敦に会う為以外に何があると?」と室ちんを見て、赤ちんもにこにこと微笑みながらそう言った。俺といえば赤ちんが京都から来た土産の八ッ橋を食べながら何だかにこにこと微笑みながら睨み合っているように見える二人の間で座っている。何だか居心地悪くて室ちんに「室ちん頼んどいたお菓子はー?」と聞けば赤ちんへにこにこしていたのとは違っていつもの室ちんの笑顔で「ああ、ごめん。ほら、これでよかった?」と破裂したのりしおじゃなく今度はちゃんとしたコンソメがでてきて安心する。

「敦、八ッ橋味のまいう棒いる?」
「いる!」
「アツシ、新作のきりたんぽ味のまいう棒も買ってきたよ?」
「ほしい!」

じいっといつくれるのかと二人を見たけど、二人はまた笑顔でにらみ合う。そんな事どうでもいいから早くお菓子ちょうだい、と言おうとするが二人とも俺を見て「じゃあ、どっちか選んで?」とそれぞれのまいう棒を俺に差し出した。俺はその言葉にえー…と不満の声をあげるけど二人の耳は届いてないらしい。「俺がいいよね?」「もちろん僕だろう?」じりじりと寄ってくる二人に対してどうしようと考えるが生憎俺は考える事が面倒な派だ。あと欲しいものはどっちも欲しい派だ。目の前で二人がもはや微笑みが微笑みじゃなくて後ろに何か龍とか虎とか見えた時点で「どっちもほしい」と率直な意見を言う。

「…アツシ」
「敦、どっちもは駄目だ」
「ええーなんで?」

更に不満の声を上げると二人は顔を見合わせて困った顔をした。正直困った顔をしたいのは俺だしいい加減くれるのかくれないのかはっきりしてほしい。段々いらいらしてきた俺は「じゃあもーいいし」不貞腐れながら手持ちのお菓子を食べようとのそのそ自分のベットへ戻ろうと、したけど後ろから二人が名前を呼ぶから仕方なく振り向いてやる。ほら、と差し出された手にはまいう棒。ごめんね、と謝る二人に仕方ないなあ、とそのお菓子を手にとった。


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「赤司君、そろそろ帰る気はないかい?君は主将だろう?」
「その事なら問題ないですよ。僕は敦と一緒に過ごす為に秋田まで来たんです」
「はは。俺は部屋を出て行けと言っているんだ」
「それも問題ないです。ちゃんと許可はとりましたからね」
「じゃあせめてその腕に抱いているアツシを放したらどうかな?」
「それも断る」
「何故急に敬語がなくなったのかな」
「僕と敦を引き離す奴は誰であろうが殺す」
「先輩に対する口調がなってないなあ」
「聞けばよく僕の可愛い敦にセクハラをしているようだが」
「oh,それは誤解だよ?俺はただcuteなアツシを愛しているだけだ」
「頭が高い。僕の敦に手を出すなんて、覚悟はできているはずだな?」
「望む所だよ」
「ねー二人とも」
「アツシ?」
「どうしたんだ?」
「うるさいからでていってくれる?」
「「はは、敦(アツシ)は素直じゃないな」」
「(どうしよう捻り潰したい)」



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