「氷室!お前今日誕生日なんだってな、おめでとう!」
「おめでとさん」
「おめでとうアル」
「ああ、ありが」
「え?室ちん今日誕生日なの?」
「……え?」



いつも通り練習に行く時に室ちんが迎えに来て、そこでおかしいと思ったのは両手に持ったぱんぱんの紙袋だった。別に俺には関係ねーしと思って特に何も言わなかったけど部室に入ったらすごいクラッカーの音と共に誕生日おめでとうという声が上がった。俺の誕生日は盛大に祝ってもらったし、誰だろうと思ってたら室ちんの名前が出てきて驚いた。あの紙袋ってプレゼントだったんだなあ、さすが室ちんっていうかすげーよね、そっかそっかーぐらいに思っていたら岡ちんが「お前そんな事も知らんかったのか…?」と言ってきたけど、俺達そんな会話しないしっつか俺の誕生日を室ちんが知っていたことから驚いたし。口には出さずに目線で伝えるとあー、みたいな顔をされる。うーん、どーしよ何も用意してないや。

「室ちん何ほしー?」
「今ここで聞くのかよ」
「アツシ、気持ちだけで俺は十分嬉しいよ」

にこにこと嬉しそうに笑ってる室ちんに対して福ちんやらが何かおかしくねえ?とか言ってるけど別にいつもの二人アル、と劉ちんが代わりに答えた。室ちん本人がそう言ってるならいっかなあとも思ったが俺の誕生日にあれだけ祝ってくれたんだし、赤ちんからお返しはちゃんとするんだよって教育されてるし、うーん。悩んだところで何も思い浮かばくてとりあえず食べかけのまいう棒を差し出して「あげる」と言っといた。それに対して皆は唖然としてる、室ちんまでもがそうしてるからあー、食べかけはまずかったなあと思う、でもこれ俺の一番のオススメだよ。と言おうとした時にがしりと手を掴まれた。え?と思っているとまいう棒が地面に落ちて拾おうにも室ちんが俺の手をがっしりと握っている為にそれは出来ない。もったいないなあと思いつつ室ちんの誕生日だからとぐっと我慢した。俺えらい。室ちんは目をきらきらさせながら「アツシ、一生幸せにする」そう言った。確かにそう聞こえた。二回目のえ?を言おうとした時に周りの皆が「じゃあ俺達からのプレゼントも紫原って事で」「異論は無しアル」「え?いいの?え?」「黙れアゴリラ」ずらずらとそう呟きながら練習に戻ろうとする皆を止める術はなく、室ちんはただにこにことしているだけである。

「…室ちん、それたぶん誤解だと思うんだけど」
「え?」
「うーん…じゃあいいや、幸せにしてね室ちん」
「もちろんさ!」

そのあとは皆でちゃんと祝ったよ、盛大に。でもなんかそのあとは思い出したくない、絶対に。


121101 氷室さんお誕生日おめでとう!

これはひどい
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