がたり、がらがらごとん。そんな音を出して落ちて行くペンやえんぴつを気にする暇も無く赤司からの口付けは止まらないでいた。そろそろ酸素が欲しくて紫原が赤司の肩を叩いて、しばし離れるがそれもすぐにまた塞がれてしまう。くちゅりと耳に響く音が聞こえてきて紫原は耳を塞ぎたくなるが、赤司は逆に火に付いたようでわざとらしく手を腹部に移してなぞるように触ってみせればん、っと声を上げながら崩れていく。その瞬間に口を再度離せばつう、と糸が引いた。それすら今の赤司には効果的だった。更に紫原の表情は酸素が足りないのか息をあがらせて肩を上下させつつ、虚ろ目で若干頬が赤くなっているとあれば赤司はそれにただ食らいつくしか選択肢はない。何が彼にこうさせているのかと言えばやはり中々紫原に会えないことで溜まりに溜まった欲求だろうか。秋田と京都では月1ですら会う事が厳しい距離であり、最近はバタバタと忙しかった事もあり二人が会うのは実に四ヵ月ぶりである。紫原は赤司が秋田に来るという事で秋田でいっぱい観光をしようと思っていたのだ。その反対に赤司はその積りに積もった欲求を紫原以外に当てる人は居ない為、紫原に会った途端この状況なのだ。紫原は赤司の荷物を置く為にホテルへ、とだけ思っていた為にこの状況は実に驚きである。

「赤ち、まって、おれ」
「待てない」

せめてベットに、と言おうとしたのだがそのまま再開するらしい。赤司は相当余裕が無いみたいだ。いつもは優しい手つきで始めるのに今日は本当にそのままの意味で紫原にがっついてしまっている。かと言う紫原もその気がなかった訳ではないが、まさか赤司がここまで余裕がないとは思っていなかったのだ。今日は色んなとこ行こうって調べてたのになあ、と頭の隅で紫原は思ったがその考えもすぐに赤司が与えてくれる快楽に飲まれてしまうだろう、と考えて紫原はそのまま愛しい恋人の赤司へと体を委ねた。


121027

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