「ノーマルエンド!!!?」
室内に自分の叫びが木霊した。
パソコン画面を見つめて固まっている自分の背後から急に腕が伸びてきて、ビックリして振り返って、更にビックリしてパソコンを落としそうになった。
「お、お、お、沖田!!?どこから入りやがりましたか!?」
「ドアだよ。」
「・・・そうじゃなくて、どうしてこの家に!?」
「普通に訪ねてきただけだよ。」
「何で!?」
「成果を見に。」
成果・・・・・・と言う事は・・・。
「やはり沖田の仕業ですか!!」
ニヤリと笑む沖田は、悪戯が上手くいって上機嫌というところか。
「何でこんな事をしたんですか!」
「何が?」
「何が?じゃないですよ!スチルの顔とか、名前とか、設定ももしかして弄りましたか!?」
「うん。」
「っかーーー!!酷いです!お陰で平常心でプレイ出来なかったじゃないですか!!」
「それで、僕を選んじゃったんだ。」
「違いますよ、流れですよ!」
じゃなかったら、もっとまともにハッピーエンドを狙ってますよ!
なんて、口が裂けても言えないけれど・・・。
「ノーマルエンドだったんだ、残念だね。次はハッピーエンドにしてよね。どんな風になるのか楽しみだな。」
椅子に座るマリアを抱きしめるように、背後に立ってパソコンを弄り始める沖田。
どうやら最初に戻って始めさせるつもりらしい。
叫んで文句を言うのも疲れるので、大きく溜息を吐いてさせるがままにした。
それに、文句よりも言いたいことがある。
「沖田・・・、ゲームのデータ改竄とか、く出来ましたね。」
「これくらいなら簡単だよ。」
簡単ときましたか・・・、信じられません。
「ねえ、これ、何回目?」
「は?」
「プレイ何回目?」
「初めてですが。」
「ふぅん、そうなんだ・・・。で、初めてなのに僕を選んじゃったんだね。それは、どうゆう意味なのかなぁ。」
含み笑いで聞いてくる沖田に、名前は顔を赤く染めてから頬を膨らませた。
「知りませんよ。流れだって言ったじゃないですか。」
「狙ってくれなかったの?」
「狙って出来てたら苦労しません。こんなセーブも出来ないようなゲーム・・・。」
「狙ってくれなかったの?」
再び同じ質問をしてきた沖田に、名前は折れた。
「・・・・・・狙ってないとは・・・、言ってません。」
「まあ、譲歩してあげるよ。」
そう言いながら、沖田が名前の耳にキスをした。
「ひん!」
思わず奇声を上げた名前に、沖田が苦笑した。
「もっとしたくなるから、声、我慢してよね。」
「そんなの無理だって分かりきってるのに、意地悪です!」
「そうだよ。名前には意地悪したくなるんだから、仕方ないじゃない。」
耳元で囁き続ける沖田の吐息に、ゾクゾクと背筋が疼く。
「さ、次はハッピーエンド狙ってよね。」
嬉しそうに要求する沖田に折れて、名前はパソコンに向き合った。
これでノーマルエンドって・・・、ハッピーエンドになったらどうなっちゃうんだろうか?と、確かに気になるけれど・・・。
あの選択肢の数々から何を選べばハッピーに繋がるのか・・・。
まさか、イク選択肢!?
とか思わないでもないけれど、次はもっと慎重に選ぼうか・・・と、思う名前をまるで邪魔するかのように、沖田の唇が首筋へと折り始めた・・・。




FIN


[*prev] [next#]



-top-



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -