拍手の数だけ 2

眠っているベッドの、手の届く場所で、

微かに揺れる布の気配がする。

ドキドキしながら、目を瞑ったままあなたを待つ私の鼓動の音、

あなたには聞こえてしまっているのじゃないかと、

少しだけ怖くて、

恥ずかしい。


「さて、そろそろ授業の時間になりますが、具合は如何ですか?」


布、カーテンが揺れて、あなたが覗き込む。

窓側に引かれたカーテンから、陽の光が差し込んできている。

その光のせいで、

きっとあなたの表情は見えないのでしょうね。


「どうしました?返事も出来ないほどに、具合が良いのでしょうか。」


あなたがそう言った瞬間、

私の中で振動している機械が、振動数を増した。


「っ!!ぁ…ぁぁ、せんせっ…!」


堪えきれずに悶える身体、

乱れた吐息には甘い喘ぎが混じってしまう。


「寝たフリなんかするのが悪いんですよ。さあ、授業の時間ですよ。」


近くまで歩み寄ってきて、顔を覗き込んでくるあなたの表情は、相変わらず笑顔のまま。

その笑顔を、どうやったら崩せるのかをずっと考えているのに…。

私にはきっと、分からない。


「先生、あっ、と、止め…てぇっ」


身を包んだ白衣の袖を握って、凶悪に振動し続ける機械からの快楽から逃れようと、何度も身を捻るけれど、

笑顔のままで…

見せつける様に、手の中に包んでいたスイッチを、

最大まで捻った…。


「やああぁっっ!!いっ、ぁ!イっっちゃ…!!、」


大声を上げて身体を仰け反らした私の口を塞いで、耳元に囁きかけた。


「まだ、休み時間は終わっていないんですから、そんなに大きな声を出したら、見つかってしまいますよ。

あなたが、保健室で器具を使っての自慰にふけっている…と。」


先生の言葉を聞いているのに、

身体は限界を突破して、激しく痙攣している。


「いやらしい、悪い子ですね。

拍手の数だけ、

イカせてあげましょうね。」


先生はそう言って、

キラリと光る眼鏡の奥で、

笑みの形に弧を描く瞳を更に細めた。


授業開始のチャイムが鳴り響いて、先生の手が、振動をし続けている機械を引き抜いた…。





薄桜鬼 二次 山南さん

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