走るのは誰のため?

いよいよ、自分の番が来た。
ドキドキする胸を手のひらで押さえて、深呼吸をする。
男子生徒しかいないこの学校で、自分がまともに戦えるのはこれしか無いだろう!と、平助君にゴリ押しされて出場することに決めた、この競技。
土方先生も、眉を片方はね上げたが、「まぁ、別に良いんじゃねぇか?」と、賛成してくれた。
賛成…?して居たのだろうか、あれは…。
そもそも、競技自体に出ることを嫌がっていた様な気がするのだけれど、自分だって学園行事に参加したい。
全体競技だけじゃつまらない!
だから、認めてもらえてとっても嬉しかったのだ。
いよいよ、始まる。
合図を出す生徒が、耳を塞いでピストルを高く掲げる。
この競技は、どちらかと言うと足が遅い人向きらしく、みんな足が遅いと聞いた。
体力は男子に劣るけれど、足の速さはそこまで悪く無いはずだ。
なんたって、毎朝平助君と一緒に走っているのだから!
遅刻しないため…だけれど。
鍛え上げられているはず。
ならば、一番乗り!
「よーい!」
生徒が合図をする。
全身にギュッと力を入れて、待つ。
パアアァァァン!!!
鳴り響く合図に、名前は走り出した。
案の定、みんな名前より断然遅い。
名前は、一番乗りでコースに置かれている紙の元までやって来た。
自分のコース関係なしに選んで良いと言っていた。
ならば…、どのコースの紙にしようか?
借り物競争の紙は、先生が用意したと聞いた。
変なものは無いだろうと安心する。
名前は、決めた紙に手を伸ばし、そっと拾い上げた。
捲ったその紙に書かれていたのは・・・・・・??


さて、
1〜6コースまでの紙、あなたはどのコースを選ぼうか?




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