終章

職員室で、盛大に頭を掻き毟って溜息をつく先生が一人。
その不機嫌な様子に恐れおののきつつも、原田先生と永倉先生が近寄って声をかける。
「おい、どうしたんだ?」
「何があったってんだ、そんなに荒れちまってよぉ。」
「ぁ゛あ゛!!?総司だよ、総司に決まってんだろ!!」
「総司?総司の奴がどうしたってんだ。」
「あの野郎、俺の宿題をこんな物と取り替えやがって!!一体何考えてやがんだ!!」
「あ・・・、それ・・・。」
「へ、へぇ・・・。」
原田先生と永倉先生が、薄っすらと汗をかく。
総司の悪戯は、心臓に悪い。
何がそんなに心臓に悪いって、土方先生に対してだけ本気でただの嫌がらせとしか思えないことをしてくるところだ。
それでいて、自分は上手く逃げおおせて、そのとばっちりがいつも職員室に一緒にいる原田先生と永倉先生に来ることだ。
「今回はまた・・・。」
「よっぽど、校長と一緒にメイド喫茶に行けなかったのが気に食わなかったんだな。」
「たったそれだけの事で、どうしてわざわざこんな事しやがる!」
「う〜ん・・・、あいつ、ネチッコイからなぁ〜。」
「性格捻じ曲がってるしな。」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!ったく!!!」
総司のプリントをぐちゃぐちゃに丸めて、ゴミ箱に投げる。
「メイド喫茶でも何でも、一人で行ってこいってんだ!!校長先生を巻き込むな!」
「いやぁ、あれは一人で入る勇気はねぇよな。」
「ああ。さすがの総司でも無理だろう。」
「大体、あんなののどこが良いんだ!?」
「いや、俺は結構萌えたぜ。」
「俺は新八ほどでもねぇぞ?」
「ん?」
「あ・・・」
「ぉ?」
土方先生の鬼の形相に睨まれて、原田先生と永倉先生の表情が凍りつく。
「てめぇら・・・・・・?」
「あ、いや、俺らは別に・・・。」
「そ、そうだよ。一昨日の土方先生と校長とは関係ないって・・・。」
「ほぉぅ・・・・・・。」
土方先生の目が据わっている。
こんな時は、大変にヤバイ。
それを学習しているはずなのに、ちっとも逃げられる気がしない。
「な、何でだよ!関係ないって言ってんだろ!?」
永倉先生の声が裏返る。
土方先生は、拳をバキボキと鳴らしながら、ゆっくりと永倉先生に近づいていく。
「ああ。聞いた。が、俺が今すこぶる機嫌が悪いことは・・・知ってるな?」
「そ、そんな・・・、それは八つ当たりって言うんじゃ・・・!!?」


その日、学校中に永倉先生の叫び声が響き、全校生徒が一瞬凍りついたという。






――おまけ――


「で、何で斎藤も山崎も、俺の宿題じゃないって、気づかないんだよ!!」
「仕方ないんじゃないのか?あいつらは、お前がやることには疑問を持たずに遂行する癖がついてるんだからよ・・・。」
「はぁ・・・。名字と平助には最初から期待はしてなかったが・・・・・・。しかし、風間まで・・・・・・。」
「いや、あいつはそこまで深く考えてないと思うぞ?」
「左之!お前は誰の味方だ!!」
「あ〜、はいはい。俺は土方さんの味方だってば。だから、そろそろ新八の首を離してやれ、そろそろ堕ちるぞ?」
「うぅ・・・ぐぐぐぐっ・・・」



――完――




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