「さ、斎藤先輩!!?」
驚いて離れようとする名前を更に力をこめて抱きしめながら、耳元で囁きかける。
「違う、そうじゃない。」
「な、何ですか?」
息のくすぐったさにピクリと肩を震わせて聞き返す。
「メイドの衣装を着た名前なら萌えるだろうが、別にメイドが好きなわけじゃない。」
「でも、さっき・・・。」
「だから、俺が言いたかったのは、名前なら何だって、何をしていたって、何を着ていたって、萌える・・・と言うことだ。」
「先輩・・・・・・。」
名前は、おずおずと斎藤先輩の背中に腕を回した。
「すいません、先輩。私、取り乱しちゃって・・・。」
「いや、それも、・・・・・・可愛いから・・・。」
斎藤先輩が、名前を抱きしめる腕の力を少し解くと、腕の中で名前が身じろぎする。そして、恥ずかしそうに俯く名前を上向かせて、その薄ピンク色の唇に軽くキスをする。
「じゃぁ、メイド萌えも無しですね。」
恥ずかしさから、誤魔化すようにプリントを指差して言う名前に笑いかけて、「そうだな。」と同意する。
そのまま、名前を足の間に座らせて、肩越しにプリントを眺める。名前を抱きしめる腕だけは外さずに、腕の中の温もりを大事に壊さないように撫でる。
「離婚・・・も、無理ですね。」
「ああ。する気は無い」
「結婚もまだしてないですし・・・。」
「俺が結婚できる年になるまで、もう少し待ってくれ。」
「宿題は明日提出ですよ?」
「ああ、それはパスだな。」
「ん?」
名前は後ろを振り返った。と、斎藤の顔が目の前にあり、再びキスをされる。
「もう、先輩!」
「なんだ、違うのか?」
「ち、違います!」
違う!と言っているのに、斎藤先輩は気にした様子も無く、名前の頬や耳にキスを降らせる。
「先輩、さっき、結婚はもう少し待ってくれって、言いませんでした?」
「言った。」
「それって・・・。」
「俺がお前を幸せにする。嫌か?」
「いえ、あの・・・、嬉しい・・・です・・・。」
「そうか。ならば、問題無い。」
優しさを瞳に溢れさせて、斎藤先輩が微笑む。この微笑に、弱いんだよな・・・と、唇にキスを受けながら名前は思う。
すぐに離れるかと思った唇が、思惑と外れて段々と深くなってきた。
斎藤先輩の舌が唇の合わせ目をなぞり、くすぐったさから思わず口を開くと、すっとその割れ目に侵入してきて、奥にある舌を絡め取る。
その間にも、優しく撫でてくれていた斎藤先輩の指が、ゆっくりと官能的に脇腹を刺激してくる。
「っん・・・。」
ビクッと震える名前に満足すると、斎藤先輩は唇を離した。
「んもう、先輩!」
「誓いの口付けだ。」
未だに刺激してくる手を掴んで身体から離して抗議すると、嬉しそうな返事が返ってくる。
「誓いの口付けに、この手は必要ないです・・・。」
その笑顔が大好きな名前は強く言えずに、拗ねたようになってしまった。
「ああ、このまま、お前を押し倒してしまいたかったが・・・。」
「もう!先輩!」
「駄目、だろう?宿題を先に済ませてしまって、後でゆっくりとしような。」
「も、もう!知りません!!」
耳まで真っ赤にしながら斎藤先輩の胸をドンっと叩くが、全く動じずにその手を握り締めて、拳に口付けてくる。
「さ、済ませてしまおう。」
名前の抗議を全く取り合わず、斎藤先輩は宿題を済ませるべく準備をし始めたのだった。




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