平助は、宿題を手伝ってもらっていた永倉先生と原田先生と一緒に、家へと向かう道を歩いていた。
もう、そこの角を曲がると家だと言う時に、体に旋律が走った。
「お、おいおい…、これって…」
「うわ、やべえって、まさか、あいつら…?」
「そ、そんな訳ねーって!!」
そう否定しつつも、思わず声を落として、忍足になる。
永倉先生も原田先生も、塀に身体を密着させて、聞こえてくる声に集中した。
「あっ…」
「どうした、これ位で根をあげるのか?」
「そんな…っ、私…」
息を荒げた可愛らしい声が微かに聞こえてくる。
その声に、三人とも聞き覚えがあった。
「やっ、先輩、強いですっ」
「そんなことは無いだろう。ちょうど良い位だ。」
「でもっ…」
永倉先生が、「うっへぇ〜」と、嬉しそうなにまにました笑いを浮かべながら、角から顔を覗かせようとすると、原田先生がそれを引き止めた。
平助は、某然としている。
「やるねぇ、斎藤のやつ。マジかよ。」
「外で…とは…」
原田先生が長身を使って、塀の上から覗こうとするのを、
永倉先生が引っ張って邪魔をする。
その間にも、途切れ途切れに会話が聞こえてくる。
「もう、無理です…っ」
「なんだ、自分から誘っておいて。」
「わ、私が誘ったんですか!?」
「そうだろう。お前の宿題なんだから。だから、お前が受けられるまでは終わらないぞ。」
「そんな……、あんっ」
永倉先生が、原田先生の腕を振り払って、角から顔を出した。
「俺、もう我慢出来な……あれ?」
永倉先生を引き止める為に、原田先生も飛び出した。
「新八!お…?」
そんな二人から、間の抜けた声が飛び出て来て、某然としていた平助も、何事かと、角から顔を出してみると…。
転がったボールを追いかけている名前が近づいて来た。
しかし、三人には気づいていない様で、ボールを拾うと直ぐに斎藤先輩のところへと駆けていき、ボールを投げ返した。
斎藤先輩は、あらぬ方へと飛んでいくボールを、腕を伸ばして器用に受け取ると、名前に向かって投げ返した。
名前は、それを受け取れずに、胸の前で弾く。
「やんっ!もうちょっと、弱く出来ませんか…?」
斎藤先輩の方へと転がっていくボールを追いかけて、先に斎藤先輩が拾うのを確認すると、所定の位置らしい先ほどの場所へと戻っていった。
「はぁ、仕方ないな。このままじゃ終わらないし。」
「すみません…。」
「いや、良い。良い汗をかいた。」
爽やかな笑みを浮かべて、斎藤先輩は緩やかなカーブを描くボールを名前へと投げた。
ゆっくりと、名前の手の中にボールが収まり、名前は嬉しそうに小さくジャンプして、斎藤先輩の方へと駆けて行った。
「有難うございます!これで、宿題が終わります!」
「良かったな。誘い受けは、案外簡単だったな。」
「そうでも無いです…。」
名前が少しいじけてみせると、斎藤先輩が名前の頭を優しい手付きで撫でて、手を繋いで家の中へと入って行った。
それを見ていた三人が、同時に顔を見合わせて首を傾げた。
「宿題って、あれだろ。」
「あれが誘い受けって、マジかよ。」
「キャッチボールに誘って、ボールを受けるってか?アホじゃねぇのか!?斎藤のやつ!!あんな可愛い声で鳴かせやがって…。」
「いやいや、問題はそこじゃないって!あれ、間違ってるし!」
「いや、ある意味、あってると思うぞ。うん。あの二人は、あれで良いんだよ。」
スーツのポケットに手を突っ込みながら、原田先生が肩をすくめてみせる。
「ほら、平助も宿題まとめなきゃなんねぇんだろ?家まで送ったことだし、帰るぞ、新八!」
「ええ〜!まだいいじゃねぇかよ〜」
「んじゃ、この後呑みにでも行くか?」
「あー、良いなー!俺も行きてえなぁ!」
「お子ちゃまはダメなんだよ!ほら、帰った帰った!」
「ちぇーっ!」
平助は、先生二人に促されて渋々と家の中に入った。
それを見届けて、薄暗くなってきた道を二人は引き返して行った。
そして、宿題を終えた名前は…。
「終わったー!」
ペンを机に置くと、両手を合わせて前へと伸ばし、硬くなった身体を解した。
すると、背後で見守っていた斎藤先輩が覆いかぶさる様に抱きついてきた。
「お疲れ様。」
「先輩、お腹空きましたね。何食べますか?」
見上げて来る名前にキスをしながら、スカートからワイシャツを引き抜いて、滑らかな肌を指で味わう。
塞がれている口から、小さく甘い吐息が漏れる。
斎藤先輩の手は、ワイシャツを捲り上げて、ブラジャーのラインをゆっくりとなぞり、時折親指で、持ち上げられた膨らみを押したり撫でたりする。
唇を離すと、とろけた様な表情をしている名前の顔を見つめて、妖艶に笑った。
「俺は、お前が食べたい。」
言いながらも、胸への刺激は止まらずに、親指はどんどん攻撃的になっている。膨らみの上の部分への刺激だけだったのに、何時の間にか頂きにある突起を際立たせようと、わざと掠める。
身体中が熱くなって、もっとしっかりと愛して欲しいと騒ぎ立てている。
名前は、真っ赤になりながらも、しっかりと頷いて、再び斎藤先輩からのキスを受け取った。
翌日の土方先生のお小言を、今はまだ知らずに、ゆっくりと快感への淵を降りてゆくのだった…。




[*prev] [next#]

-top-



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -