れいが気を失っている間に、松本先生が来て、腕の中の木っ端を取り除き、縫い付けてくれた。
その間の痛みにも気づくことなくれいは眠り続けた。
松本先生は、塗り薬と飲み薬を残して、数日したら診療所へ顔を出すように言うと、去っていった。
土方さんの詳細を聞き、れいがどんな目にあっていたのかが分かった時、心臓を鷲づかみにされたほどの重苦しさを味わった・・・。
新選組とは言え、京の町で起こる全ての事件を片付けることが出来るほどには人手が無く、有能ではない・・・。
けれど、大切な人一人守れない武士など・・・、自分はそれでも武士と言えるのだろうか・・・!?
もし、武士としての仕事と、大切な人の危機とを量りにかけた時、自分は迷わず武士としての仕事を選ぶ、そうであるはずだったし、これまではそうだった・・・。
けれど、この後味の悪さと、胸苦しさは一体・・・。
隊のため、幕府のため、国のために働くべき武士の自分が、乱されるほどの何かを持っていいものだろうか・・・・・・。

斎藤さんは、仕事が無い時間はれいの傍で見守り続けた。
手を握り締め、頬に触れ、髪を撫で、目が覚めるのを待った。
二日たっても、未だに目覚めないれいを、心が冷えていく思いで見つめていた。




斎藤さんの瞼の裏に、鮮やかな赤い染みが滲む・・・・・・。






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