【Waste of time】writer:いちこ
writer
ト書き&セリフ:いちこ
―――――――――――僕は冷静になる為に襖に手をかけたまま呼吸をおいた。
今入れば自分が何をするかわからない。
襖を薄らと開く。室内の洩れ出る一筋の光が僕を一刀のもとに切り裂く――
『!!!』
室内の光景に息を詰めた。
「あっ、龍馬さん…やめ…お願い…」
龍馬に組み敷かれ乱れる彩花さんに、僕は身動き一つ出来ない。
ただただ視線は囚われ、息をするのを忘れるぐらい。
「あぁ!」
彩花さんの艶めく声にカッと顔に熱が集まる。
そして……己自身に沸き起こる熱を感じた。
僕は夢中で二人の行為に魅入ってしまった。
『何故襖を開け押し入らない!』
僕の心は激しく叫び僕自身を叱咤するが、相反して僕の体は生気を取られたように動かない。
ただ一点を覗いて…。
僅かに隙間から見える行為に、熱をため始めた己はむくりと首をおこし、褌の中で苦し気に膨張する。
視線は細く開かれた部屋の中から離せない。
「やっ…あっ…」
足を擦り、逃げようとする彩花さんの着物が大きくはだける。
『!!』
自然と荒くなる息を推し殺して闇の中から光の向こうを見つめる。
僕と君とを隔てる薄い襖。
『半平太、何故助けない』
背徳感に苛(さいな)まれ、心が僕を叱責す。
しかし、心に反して僕はどうにも苦しくて無意識に褌に手をかける。
思いがけない興奮に凌駕される。
心臓が早鐘を打つ。それを逃すように褌の横から己を取り出した。
「やん…ちょっ、やめ…」
『ああっ!…彩花さん!彩花さん!』
彩花さんの切迫した声にカッと欲が集まる。
『ああ、僕は!僕は!』
手慰めに己を握り擦る。
遣る方ない気持ちが僕を責める。
僕自身が創る振動に、快楽に購うことが出来ない。
盗み見る
この禁忌を侵すような行為に僕の全身の毛は逆立ち身震いする。
激しく動かす手の動きをどうにも止められない!
その時――
「やっ!た、た…けちさん、たけちさん」
僕の名を呼ぶ彩花さんの涙声。
『!!彩花さん!彩花っ!』
僕はようやく自分を取り戻し、急ぎ裾を直した。
● はい、は〜い!道草終了でーす! →[ 10/19 ]