せかいはしゅうえんをむかえている
世界は終焉を迎えている。
あるところでは陽が照り続けた。大地がひび割れ、作物は皆枯れ果て、種を蒔いても実らない。大飢饉の末、そこで暮らしていたものはすべからくその生命を散らしていった。
あるところでは雨が降り続けた。穢れた水が大地の奥深くへと沈み込み、あらゆる木々の根を腐らせた。堰を超えた濁流は、そこで育まれた営みをすべからく押し流して呑み込んだ。
またあるところでは雪が降り続けた。霰混じりの雪は積もりに積もり、木を、家を、村を、街を、国を、人々を。その重さで圧し潰した。
またあるところでは風が吹き続けた。あらゆるものが蹴散らされ、ぶつかり合い、圧倒的な力に為す術もなく細切れにされ、乾いた大地へ叩き落とされていった。
けれど、空だけは。
この空だけは、変わらず蒼いままだった。
どこまでも広がる蒼。ぼくはそこへと翼を広げる。
見つからない。まだ、見つからない。
ぼくの求める勇者は、まだ。
――――世界の求める勇者はまだ、見つからない。