「人を忘れることは存在を消すと言うことでつまりそれは人を殺したと同等の罪になる。」


名も知らぬ偶々バスの停留所で椅子の隣に腰掛けていた紳士が程良く蓄えた髭を弄りながら、そう高尚なことを呟いていたのを思い出した。

もしそれが真実ならば、私は愛しい人に幾度となく殺されていることになる。












最近毎日保健室で目覚めるレギュラスは、私のことを覚えていない。

正確に言い表すならば『他にも忘れていることはあるのだろうけれど、私のことだけは微塵も欠片も無く綺麗に記憶から抹消されている』のだ。


ダンブルドアは、「不完全な忘却術が掛かっておる」と忌々しげに呟いていた。どうせスリザリンのキーキー甲高い声で五月蝿い女共が「グリフィンドール如きの癇に障るイエローモンキーが弟とはいえブラックと恋人関係にあるなんて許せない!」といった恨みを買った所為だろう(誰も好きでグリフィンドールに配属された訳でもって、望んで日本人に生まれたわけではないけれど)。
魔法は完全なモノほどそれに対する反対呪文が効きやすいと言うが、不完全ではどうも相殺する呪文も複雑化するらしい。
彼女たちがソレを計って下手くそに魔法を掛けたかは謎だが、その脆くも曖昧な反対呪文を作るのにダンブルドア他呪文学の権威だとか人の知れない森の奥深くに潜む妖精たちは大変試行錯誤してくれている。

そんなわけで、私は先生方が頑張っている間に毎日お見舞いに来ているけど目の前でキョトンとして「はじめまして」と挨拶するレギュラスをかれこれ一週間と三日は見ている。














(初めまして、と貴女に微笑んだ。
「貴女は誰ですか?」なんて野暮なことは聞きたくないけれど、きっと愛しい人だったのでしょう。)























090407
深まることのない愛の話。
何か続編有るっぽい雰囲気だけど無い筈である。
はいはいヤンデレヤンデレ。
ハニー!愛が欲しいよ!U子。

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