こう
せい!




魔法薬学の課題が行き詰まって、思わず口から膨大な量の二酸化炭素が排出された。
――――人はソレを溜め息と呼ぶらしい。


「レグルス、溜め息吐いたら幸せ逃げるんだよ。知らないの?」


びろんと、机の両端一杯一杯に広げた羊皮紙。羽ペンを持ちながらも動くことを忘れた利き手。

指定された60センチの凡そ40センチが几帳面過ぎると罵られる自分の字で埋まっているのだが、残りの三分の一がどうにも埋めきれない。

参考になる文献は全て読み尽くしたつもりで。薬草の図鑑にも全て目を通したのだが、どうにもあと20センチの空白に書くことが見付からないのだ。

(序盤中盤に書きたいことを書き過ぎた。)

普段の自分なら犯すことの無い失敗から片手で髪の毛をぐじゃッと掻き揚げる。
するすると指の間を通り抜けていくシルクのような感覚。今朝髪の毛を洗ったときよりは少し弱いシャンプーの香りが花を掠めた。

もう一度、口から魂を吐き出すほど深い溜め息を吐く。

すると「世界の終わりじゃあるまいし」と呟きながら、人が頭を抱えるほど悩んでいる目の前で悠々と読書をしていたFirst name先輩は本をパタンと閉じて、先程自分が地球温暖化に大きく貢献した溜め息に負けず劣らずの大きな溜め息を吐いた。


「・・・何で先輩まで溜め息を吐くんですか。幸せが逃げましたよ?」
「良いんだよ。私が逃がした幸せは、きっとレグルスの所に行ったから。」


じわっ、と羊皮紙にインク溜まりが出来る。
紙はインクの重さに耐え切れなかったのか、それとも乱雑にではあるが敷き詰められた繊維が解されたのか、そこにぽっかりと小さな穴が空いた。


「―――意味が、判りません。」
「だってレグルスの逃した幸せが全部私のところに来ちゃったから。」
「そんなこと有るわけないじゃないですか。」
「有るよー。リリーは、私が溜め息ついたら「幸せとーった」って言って息吸うもん。」


First name先輩は乱暴に掻き揚げた俺の前髪をちょいちょいと直してくれる。
地肌に触れる指先が少し冷えていて窓の外を見ると矢張りというべきか日が落ちていたから気温と共に体温が下がったのだろう。心なしか鼻頭が赤らんでいた。


(寮に帰りますか)
(宿題はいいの?)
(思い付かないんで・・・・・・何笑ってるんですか)
(いやー、今日はずーっとレグルスと一緒に居れたな、と思って)
((・・・・・・恥ずかしい))




















101111
今日はポ○キーあんどプリ○ツの日!
ということでそんなのは全く関係ないんですがww
とりあえずななさんリクエストのレギュ×年上先輩のほんわか系、でした?だだだダメですかね?(((゜д゜;)))))
多分U子は図書室とか入り浸り族で時間忘れると思う。そんな感じ。U子

せい
こう!
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