「ホグワーツにもポプラがあるんだね」
先輩はそう呟いて、白い綿毛を象った種子を掌に乗せる。
ふわりふわりと指の隙間から落ちそうな綿毛を弄びながら微笑んだ。
「ポプラの綿毛は春に降る雪なんだよ。」
レグルスは知ってるかな。そう呟きながら先輩はふうっと唇を窄めて、吹き出した吐息がポプラを宙へ飛ばした。
「先輩って意外とロマンチストですよね。」
「意外と、は余計だよ。あたしだって女の子だもんね。」
失礼な、と眉間に皺を寄せて先ほど窄めた口をツンと尖らせ不満気な表情を浮かべる先輩。柔らかい風が吹いて、質は違うお互いの黒い髪の毛が靡いた。
ふわりポプラが舞う。
「コレ、耳に入ったら聞こえなくなるんじゃないですか?」
「あー有り得そう・・・って、かなり現実的。」
「もし先輩の耳が聞こえなくなったら、毎日でも告白してあげますよ。」
髪留めのように、ポプラが先輩の髪の毛に着地した。
動きが止まり、驚いたような表情を浮かべてからすぐに笑みが深く刻まれる。
「心に響くように頼むわ。」
「随分素直なロマンチストですね。」
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