「戻ってくるの早いな」

「アタシらここで着替えるからあんたらちょお出てってくれるか」

「は?なんで」

「着替える場所無かってん」

「…仕方ねーな、スイッチ漫研行こうぜ」

「5分経ったら戻って来てええで」

「5分じゃ全然マンガ読めねーよ!」

「じゃあ廊下で正座でもしとけ」

「なんで!?」

「罰や」

「なんの!?」

「ええからはよ出てけ!」

「はあ…」

二人が出ていったのを見送り、鍵とカーテンを閉めた。

「ほな、着替えよか」

「うん」

「ちょお寒ない?暖房入れるか?」

「そうだね」

「もう10月も終わりやもんなぁ」

「最近夜冷えるからね」

「せやな、寒くて寝られへん時あるわ」

「風邪引かないように気をつけてね、姉さん」

「モモカのが気にせなアカンやろ」

「アタイは大丈夫だよ」

「せや、今度一緒に新しいパジャマ買いに行かへん?」

「暖かいやつだね」

「楽しみやなあ」

「そういえば姉さん、今年はボス男の誕生日どうするんだい?」

「ああ、せやなーもう11月やったっけ」

「さっきからそればっかりだよ」

暖房が効くのを待つことなく、喋りながら着替えた。

「よし、終わったよ」

「モモカめっちゃ似合うやん!可愛いわー小悪魔やわー!ちょお写メ撮ろ写メ!」

バタバタと動き回り、ケータイを手にしたヒメコはモモカの隣にくっつき腕を伸ばして自分たちにレンズを向けた。

パシャっとシャッター音が響く。

「上手く撮れたかなーっと…」

「どうだい?」

「アカン…アタシぜんっぜん似合うてへん…」

天使の服は、悪魔のものと形はあまり変わらないが、中のパニエでスカートにボリュームが出るようになっている。

「そんなことないよ!すっごく可愛いよ姉さん!」

「ホンマ?」

「うん!早くボス男たち呼んで見て貰ったら?」

「絶対笑われるで?」

「大丈夫だよ!」

モモカは、ドアの鍵を開けそっと廊下を覗いた。


「スイッチ!ボス男!入っていいよ」

「おお」

『wktk』

ボッスンとスイッチはモモカが開けたドアの隙間に手を掛け中に入った。


「ど、どや…」

「…思ってたより悪くねーと思う」

「ホ、ホンマに?」

『普段制服が白だからじゃないか』

「そうか!」

「色の問題かい!もっと他にあるやろ!」

「喋らない方がいいかもな」

「どういうことやねん!」

「清楚な天使のイメージが台無しだろ」

「喧嘩売ってんのか!?あ?」

「いや、ちょ天使が怒ったらダメだと思う…」

「いいから表出えや!」

「すいませんでした…!!」





天使は悪魔
(悪魔つか鬼だな…)






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