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autograph
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「じゃあ一つ、アタイも頼んでいいかい?」
スイッチは、なんだ、という言葉の代わりに首を傾げた。
「スイッチのサイン、おくれよ」
所謂一般人のスイッチは自分がサインを求められるとは思ってもみなかっただろう。
何故?と言いたげにペンを走らせようとしていたからそれを遮るように話す。
「あ、いや、その…励みにしようと思って…ダメかい?」
スラスラとペンを走らせるスイッチを待つ。
『別に構わないが?』
「ホントに?」
首をたてに振り再びスケッチブックに言葉を紡いでいた
『弱震アリのDVDにサインを貰おうと思ったがロッカーに預けてきてしまった』
「ふふっ、スイッチも意外とドジなんだね!」
スケッチブックが捲られ、ペンが動く。
『今から取ってきてもいいか?』
「今から?いいけど…遠いんじゃないかい?よかったらまた今度サイン書いて送るよ?」
『大丈夫だ。走って取りに行く』
スイッチはそのままアタイにスケッチブックを預け走っていった。
「そんなにアタイのサインが欲しいのかな…」
ふとスケッチブックに目を向けると裏写りした文字が見えて思わずページを捲った。
「たくさんある…」
パソコンが壊れてからずっとスイッチはこのスケッチブックで会話をしていたのだろうか。
「これライブの時のかな…」
舞台から見えたスイッチがコールの時にこれを掲げていたのを思い出した。
「あ、」
次々捲っていけば、チケットのことが書いてあるページがあった。
毎回スイッチが来てくれていることを思い出す。
「そういえば今回も、500人限定なのに…」
暫く眺めていたら足音が聞こえ、顔をあげればスイッチがいた。
「早かったね」
上下する肩から走りっぱなしだったことが分かる。
「このスケッチブックにスイッチのサインお願いしていいかい?」
言葉を紡いでもらうためにスケッチブックをスイッチに返す。
『これにか?』
「スケッチブックも、貰えたら嬉しいんだけど…ダメかな?」
スイッチは再びページを捲り、ペンを走らせた。
こちらに向けられたスケッチブックには『ファンだからな』というページに笛吹和義と名前の入ったものだった。
「ありがとう。大事にするよ!」
autograph
(今度はアタイがサインする番だね)
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