シー、イン


「あっちーなー」

女子が飲み物を買いに行くついでに着替えてくると行ってしまったので
パラソルを開いて荷物番をしていた。

「今にも海に飛び込みたい気分だね」

七分袖のパーカーで日焼け対策をしている榛葉は余計に暑いのだろう。

「よし、飛び込むか」

「は?いや、冗談だからね?せめて水着に着替えてから…」

「よし行くぞ椿!」

「え、ちょ」

安形は椿の手を取って海に向かって走っていった。

「あーあ…」

気付いた時には膝あたりまで海水に浸かっていた。

「あ、」

バシャン、と水が跳ねる音がした。
安形は椿を軽く持ち上げ海に投げ入れたのだ。

「ゲホッ何するんですか!」

「わりわり」

「服濡れちゃったじゃないですか!」

「まあまあ、替えあるんだろ?」

「ありますけど」

「じゃあいいじゃねーか」



椿は荷物番をしている榛葉の元に戻ってきた。

「榛葉さん、僕ちょっと替えのTシャツに着替えてきます」

「うん…いってらっしゃい」

榛葉は、荷物を持って更衣室に向かう椿に手を振り、海から上がってきたもう1人に声をかけた。

「ねえ、まさか…」

「ああ」





「お待たせしました」

椿は夏男と書かれたTシャツを誇らしげに着ていた。

「あれ?女子はまだですか?」

早くTシャツを見せびらかしたいのだろう椿は辺りを見回した。


「お待たせしました」

「なっ…」

小走りに駆け寄ってくる丹生とサーフボードを抱えた浅雛が見えた。

「二人とも似合ってるよ」

「ありがとうございます」

「榛葉さんに言われても嬉しくない」

「酷いよデージーちゃん」

「なんだデージー、サーフィン出来んのか?」

安形がボードを指差して問う。

「いや、出来ない。出来ないがモイモイが可愛いくてつい持ってきてしまった」

ボードには女の子に人気のキャラクターが描かれていた。

「でもなんかデージーちゃんなら出来そうだよね、サーフィン」

「だな」

「実はやってみたかった」

「では、早速やってみませんか?私もはやく海に入りたいですわ」

「荷物は見てるからね」

「はい。では」

安形と榛葉は二人を見送った後に気付いた。

「僕はそんなに影が薄いのか…」

椿の様子に。

「ちょっと椿ちゃん!?」

「完全に卑屈だな」

「余計なこと言うなよ?」

「分かってる分かってる」

「絶対分かってないだろ…」

「なあ椿」

返事は無いが続ける。

「お前夏男なんだろ?こんなところで座ってるだけでいいのか?」

安形は椿の肩を叩く。

「夏男なら目一杯遊ばなきゃな?」

「おい安形」

安形は椿の腕を持ち上げ、立たせた。

「行くか」

そしてそのまま海に向かっていった。

「またか…」


そして再び、水の跳ねる音と、安形の笑い声と椿の怒る声が響いたのだった。






[end]

生徒会で海に来た理由は見回りです、多分。
(ミモリンなら海貸し切りとか出来ちゃうからねきっと)

しっかし安形の口調が分からない!




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