黒火


火神不在
黄瀬と黒子




「そんなに食えるんスか?」
「…食えませんね」
トレーの上に乗るセットメニューを見て驚く黄瀬くんに気付かされた。しまった。またやってしまった。どう考えても一人では食べきれない量を注文してしまった。
「癖でつい買ってしまいました」
「癖?」
「いつもなら大体火神くんが食べてくれるので」
もうお腹いっぱいなので、と食べ残しを火神くんに差し出せば彼は嬉しそうに笑い掛けてその笑顔を一度引っ込める。ちゃんと食べろよな、と言いながらも、まあムリは良くねえけど、と僕の食べ残しを食べてくれる。それがなんだか嬉しくて日に日に注文の量が増えていたりした。
火神くんが渡米して数週間が経つけれど未だにその習慣は染み付いていた。
「じゃあ今日はオレが代わりっスね!」
そう言うと黄瀬くんは机の上で組んでいた手を解いてそのままハンバーガーを掴もうと手を伸ばしたから反射的にその手を叩いて死守した。少し力が強かったのかいい音がした。
「痛いっス!」
「すみません。でも持ち帰って食べるので大丈夫です」
「そっか」
「ええ」
火神くんのポジションは誰にも渡しません。



僕だけの残飯処理係
(只今留守にしております)

2013/11/10
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