遙と真琴と渚と凛


「あれ?はるちゃん買わないの?」

更衣室から出てすぐ、休憩室でアイスを買うのが習慣になっていた。毎週飽きもせず同じアイスを選ぶようになったのはいつからだろうか。
渚はコーンタイプのカスタードプリン味のアイスを噛りながら休憩室を通り過ぎようとした遙に声を掛けた。

「金忘れたから」

「俺の、半分食べる?」

渚の後ろからそう言ったのは真琴で、レモンとソーダが半分ずつになっているスティックタイプのアイスを自動販売機から選んだところだった。

「いや、いい」

「七瀬!」

さっさと帰ろうとその場を去ろうとした遙を引き止めるように名前を呼んだのは凛だった。なんだと其方に目を向ければ此方を目がけて何かが投げられた。

「やるよ、それ」

手のひらに収まったそれはスティックタイプのグレープ味のアイスで、これはいつも凛が選んでいた味だった。

「いい、いらない」

「俺今日こっち食べようと思ってたのに間違えてそれ選んじゃったんだよ。だから食ってくれる?」

「あ!それちょっと気になってたんだよねー季節限定!」

ちょっと食べさせて!と凛のアイスに目を輝かせる渚の声に紛れて来週金返す、と遙が呟いて包装を開ける音がした。




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1話放送直後に書いたスイミングでの話。
2013/07/04

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