向日葵と熱中症



「ひまわりやー!」

辺り一面ひまわりだった。所謂ひまわり畑だ。
自分達の背丈より少しだけ高いひまわりが太陽と向き合って咲いている。

「こんなの漫画の中だけかと思ってたぜ」

「スイッチ写真や写真!」

『依頼はいいのか?』

「水撒くだけやろー」

ヒメコはスイッチの構えるカメラに向かってポーズをとった。

『ハイチーズ』

「なあ、なんで写真撮る時ってハイチーズなんだ?」

「1+1は2で笑顔やんな?」

「言い慣れてないと結構恥ずかしいんだぞ、ハイチーズ!」

「今いらんやろそのハイチーズエピソード」

『はい、チーズ』

「ほんでなんでお前は裂けるチーズ持ってきとんねん!」

『ドヤァ』

「コイツ…」

「それよりさ、かくれんぼやろうぜ!かくれんぼ!」

「子供か!」

「鬼はやっぱりヒメコだよな!」

「勝手に話進めんなや!イヤやそんなん!アタシ小学生ん時かくれんぼで鬼やるん苦手やってんで」

「知らねーよ!じゃあスイッチ」

『オレもあまり鬼は好きじゃないんだが…いくつ数えたらいいんだ?』

「おお、やってくれんのか!そうだな…この広さだからなー…1分か?」

「あっちの畑ゴーヤとかあったで?」

「話聞いてる?」

「範囲はどこまでなん?」

『校長に頼まれた畑内だけでも十分広いぞ』

「じゃあ畑ん中だけな。スイッチは100数えたら探しに来いよ」

「よっしゃ!どこ隠れよかなー」


スイッチは畑とは逆の方向を向き、カウントを始めた。






『…99、100。もういいかーい』

「もういいよー」

『さすがにここで返事したらバレるぞボッスン』

声がした方に向かえばひまわり畑の中に座り込んでいるボッスンがいた。

「はええよ!」

『座り込んでどうした?熱中症か?ん?』

「それ心配してんの?ふざけてんの?」

『両方だ』

「結構見つからないと思ったんだけどなー」

『ボッスン、熱中症を一漢字ずつ区切って言ってみてくれ』

「は?なんだよいきなり…ねっ、ちゅう、しょう?ってことか?」

分かりやすく画面に文字を打ってみせる。

「…ね、チューしよう?はあ!?」

『そうか、ボッスンは大胆だな』

「いや違うよ?言わされたんだよ?ほら、ヒメコ探さねーと…!」

『必死だな。そんなにオレとキスするのがイヤなのか』

「いや、そうじゃなくて…!ちょっとスイッチさん!?」

『そうだな、水分補給も大事だな』

「話聞いてる?」

『口移しで飲ませてやろう』

「は?」

『ちょっと待っててくれ』

「嫌だよ待つくらいなら逃げるっつーの!」

『ボッスンはツンデレだな』

「ちげーよ!」





向日葵と熱中症





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