家事



「お兄ちゃん退いて」

掃除機の騒音とルミの声で目が覚めた。今は何時だろうか。
ごそっと身を動かせば、ひんやりとした感覚がした。
エアコンで冷えたリビングの床に張り付いたまま寝てしまったのだ。
冷凍庫に入れられているアイスはきっと毎日こんな思いしてんだろうなと思いながらもう一眠りしようと目を瞑れば横から不快な温風が吹いてくる。
それが掃除機から排気されているものだと気付くとすぐに体を起こした。

今時の家庭はサイクロン方式だとかロボット型だとか最新の掃除機を使っているらしいがうちはそんなハイテクな掃除機ではない。
スイッチに言ったら作ってくれるだろうかと一瞬考えたが色々いらない機能をつけられて大変な目に遭うことが安易に想像出来た。

「あとやっといて」

「は?」

「友達と遊んでくるから」

バタバタと出掛ける準備をするルミを寝起きの目で確認し、そのまま時計に目を移すと針は昼の1時前を指していた。

「洗濯もまだ途中だから」

「なんで全部中途半端なんだよ」

「食器も洗っといてー!」

気付いた時には行ってきまーすと玄関から声がして家事を押し付けられていた。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -