静かな場所には



「会長!」

街中でふいに後ろから声を掛けられた。
会長と呼ぶのは一人しかいない。

「キリ?どうしたんだ?こんなところで」

「オレはロードワーク中です。会長こそどうされたんですか?」

「ボクは今から図書館だ」

「図書館ですか?」

「ああ。夏休みの課題をやろうと思って」

「さすが会長!是非お供させてください!」

「お供…なんだか昔話みたいだな…まあ別にボクは構わないが」

「ありがとうございます!」


図書館はもうすぐそこで、角を曲がればすぐ入り口が見えた。

「そういえばキリは終わったのか?課題」

「まあ、大体ですが」

「そうか。分からないところがあるなら遠慮せず頼ってくれて構わないからな」

「はい!ありがとうございます!」


カウンターの前を通り過ぎれば何やら子供の賑やかな声が聞こえた。

「読み聞かせしてるみたいですね」

キリは壁に貼ってあった紙を指差して言った。

「なるほど。そういえばボクも小さい頃によくそういった行事に連れて行ってもらったことがあったな…」

少し覗いてみようと読み聞かせをしている方へと足を向ける。

徐々に聞こえる朗読の声はどこか聞き覚えのあるような声だった。

「この声はもしや…」

姿が見えるところまで来てみればそれはやっぱりお馴染みの奴だった。

「スケット団!」

「あ」

こちらに気付いた藤崎は一瞬驚いた様子だったがそのまま読み聞かせを続けていた。






「何故君たちが?」

「まあ、色々あってな」

ゴー、シュー、ドギャァン、と笛吹のパソコンが騒がしいのは何なんだろうか。

「お前いつまでやっとんねん!」

『いやあ意外と楽しいもんですなあ』

「せやねん。読み間違えたらどうしよか思っててんけどちゃんと読めたしな」

『ボッスンの微妙なテンパり具合もなかなかだったぞ』

「確かに微妙やったな」

「うるせー!ちゃんと読めたんだからいいだろうが!」


『ところで椿は何しに来たんだ?』

「コイツのことだから勉強に決まってんだろ」

「なんで加藤も一緒なん?」

「さっきそこで会ったんだ。会長は夏休みの課題をやるためにここに来たんだ。邪魔しないでくれ」

「うわーやっぱ真面目なヤツは違うわ」

「ボッスンも一緒にやったらええやん」

「誰がこんなヤツと一緒にやるか!」

『椿に教えて貰えばいいだろう』

「なんでお前らそんなに勉強させたがんの!?」

「まあまあ」

『ソワソワ』

「そわそわすんな!オレはやんねーかんな!依頼も終わったんだから帰るぞ!」

『あとで泣き付いてきても写させてやらないからな』

「そんなもん一瞬で終わるっつーの!」

そう言ってボッスンは図書館から姿を消した。





静かな場所にはヤツがいた





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