~2013.01.01


椿がまた飯を食べに来るらしい。
なんとなくそういう流れになってなんとなく約束を取り付けたのが一週間前だ。
母ちゃんにもそう言ったのだが今日になって急に仕事で帰れないと言い出したのだ。



材料はあるから3人で作りなさいよ、と今日作る予定だったらしいメニューがメールで送られてきたのが昼の話だ。





「ただいまー」

「お邪魔します」


椿を連れて帰宅した。
この前と違うのは学校帰りということだった。

ルミには先に下拵えするように電話しておいたからきっとキッチンに立っているはずだ。

玄関からリビングまでの短い廊下が少しだけ長く感じた。


「あ、おかえりお兄ちゃん」

椿がいるからって妹ぶってんじゃねえよ!普段おかえりなんて言わねーじゃんお前!と喉まで出かかった言葉を抑え、晩飯の進行状況を聞くことにした。

「見ての通りだから手伝って」

机の上に広がっているのは、餃子のタネと皮と水と既に包み終わり形になった餃子だった。
まだ包み始めたばかりなのか形成された餃子は6つだけだ。

「椿もやれよ」

「ああ」

椿を連れて洗面所に手を洗いに行けば、しっかり指の間や爪の間まで洗え!と椿に言われた。
やっぱ真面目だなコイツ。とか思ってたらそのまま両手を掴まれて手のひら同士を強制的に擦らされたりしながらなんとか手を洗い終えリビングに戻れば手際良く餃子を包んでいたルミは既に殆ど包み終えていた。

「皮余りそうだからジャム出しといて」

「はいよー」

「ジャム?何故ジャムなんだ?」

「は?何言ってんだよ」

冷蔵庫から取り出したりんごジャムを机の上に置いた。

「餃子にジャムはいらないだろう」

「いやいや普通餃子作りで皮が余ったらアップルパイだろうが」

「アップルパイ?…では、タネが余ったらどうするんだ?」

「そりゃあハンバーグにするに決まってんだろ」

「なるほど…しかし美味しいのか?」

「うるせーな!出来たら分かるんだから作るの手伝えよ」

「ふむ。分かった」

それから、ルミが餃子を焼いている間に椿と2人で簡単アップルパイを作った。
椿はジャムを乗せすぎて皮が破れていたが最初はそんなもんだろうと口うるさく言うのはやめた。

こうやってたまには飯の準備をするのも悪くないな、と思った




餃子アップルパイ



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