あと少し



吉村さんに落ち葉を掻き集めるのを手伝ってほしいと言われ、
冬に近付く空気を感じながら竹箒で集め終わったところだった。
ヒメコはソフト部の助っ人に出向いていたので、ボッスンと二人だ。


「焼き芋しよーぜ!」

『また椿に怒られるぞ』

「バレなきゃいんだよ!」

『吉村さんもこのタイミングでさつまいもくれるとはな』

「ご褒美だご褒美!」

『火はどうするんだ?』

「チュウさんからマッチ借りてきた」

『準備いいな』

「落ち葉で焼き芋やってみたかったんだよなー」

『落ち葉足りるのか?』

「足りるだろ?よし、スイッチ、さつまいも洗ってアルミで包んでくれ」

『出来てるぞ』

「おめーもやる気満々か!」

『チュウさんからアルミ貰ってきたからな』

「チュウさん便利だな…」



とりあえず一本だけ芋を落ち葉の中へ入れ、マッチを擦る。

スッスッと擦れる音がボッスンの手元から聞こえるが、その音は弱々しく、マッチに火が灯りそうにない様子だった。

「…スイッチパス」

『マッチもできないのかw』

「うるせーよ!」


スッとマッチを箱に擦り、火を灯した。
火の付きやすそうな葉に火を移し、そのままマッチを集めた葉の中に入れた。


「付くか?」

『うちわないのか?』

「ないな」

『ボッスン、肺活量を鍛えてみてはどうだ』

「要するに息吹けってことか」

『加減が大事だぞ』

「任せろ!」




それからいくつかマッチを消費し、やっと火をつけ暖を取りながらさつまいもが焼けるのを待った。


『あまり火に近いと目に悪いぞ』

「だって遠いと寒いし、ゴーグルすれば目も平気だぜ!」

『集中モードにならないのか?』

「…」

『オレが暖めてやろう』


体育座りをしたまま少し後ろに下がったボッスンの背中に覆い被さるように後ろから抱き締めた。

「!?」

『…』

「…」

『あったかいか?』

「……ああ」

『オレもだ』

「芋焼けたかな?」

『まだだろう』

「そっか」

『ああ』


首に巻き付けていた手を脇から回し、ボッスンの手を握った。

『焼き芋、』

「何?」

『ふーふーあーん、してくれるのか?』

「し、てやんなくもない…」

『楽しみだなw』

「するかバーカ…!」






焼けるまであと少し






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甘々…になりきらなかった…!
甘いのって如何に自然に甘くするか、なんですよね…難しい!
秋な旬ネタですが、まだちょっと早いような気もする。

とにもかくにもありがとうございました!




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