go to bed


うっ、と声が出たのはほぼ同じタイミングだった。
ベッドから落ちた反射で出た声と、上に物が落ちてきた反射で出た声だ。



家に帰るのが面倒だから泊めてくれといきなりミチルの家に押し掛けたのが昨日の夜。
迷惑そうな顔をしていたが家に上げてくれた。
先に部屋行っててと言われたので部屋に上がったがあまりの眠さにそのままベッドにダイブした。それ以降の記憶はない。



「ちょ、安形重い…」

目を覚ませば、ベッドから落ちていて。
落ちた先にはミチルが寝ていたらしく、不機嫌そうな声が上がった。


「今何時だ?」

「時計くらい自分で確認しろよ…」

何度も来ている部屋の時計を見れば、6時半過ぎだった。

「なんだよまだ寝れるじゃねえか」

「いい加減起きろよ」

「嫌だまだ眠い」

仰向けのミチルにうつ伏せで抱き付いて退けられないようにした。

「寝るならベッドに戻れよ」

「俺抱き枕がないと寝れねーんだよ」

「さっきまで普通に寝てただろ」

「細けーことは気にすんな」

「オレはもう起きたいんだけど」

「えー一緒に寝ようぜー」

「嫌だよ」

「なんでだよーいいじゃねえか少しくらい」

「朝ごはん作りたいんだよ」

「朝飯?何作んだ?」

「適当だけど」

「適当ってなんだよ。和食か?それとも洋食か?」

「随分食い付くなあ…」

「どっちだよ」

「じゃあ、どっちがいい?」

「食えればどっちでもいい」

「…将来奥さんに嫌われるよ」

自分が結婚している未来は想像出来ないが好きなヤツに嫌われるのは御免だ。

「じゃあ味噌汁が飲みたい」

「定番だなあ」

「ミチルの作った味噌汁なら毎日飲みたい!」

「っ……毎日は面倒くさいよ」

「鈍感のフリは良くねーなあ」

「肯定の意味にも取れると思うけど?」

「…オレ今日頭回ってねーのか?」

「寝起きだからじゃない?」


じゃあ、といつの間にかオレの下から這い出ていたミチルが部屋を出ていった。




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