好きの向こう側



顔見知りから恩人へ、
恩人から親友へ。
刻を重ねるにつれ深くなる関係はそれ以上進むことは無かった。

いや、もうそんなのは通り越したのかもしれない。

憧れが好きに変わり、更に嫉妬へと変化する。
無意識に振りまくその笑顔と、人の良さが気に入らない。
いっそのこと好きだと伝えればどうにかなるかもしれない。
しかし、それさえも出来ないのが現状だ。




-----好きの向こう側




自分の中の黒い気持ちが膨らむ。
もしかしたらもう嫌いになっているかもしれない。

いつしかオレは、ボッスンを避けるようになった。
避けるといっても、それはあくまで自然に。
話し掛けられたら応えるし部活にも行く。
誰にも気付かれないようなオレだけの変化。


「スイッチ最近おかしくね?なんかあった?」

放課後、二人きりの部室でそれは告げられた。
ヒメコはまだ来ていない。
いつものボッスンに比べたら、それは真剣に。
こういう些細な変化にも気付くのはさすがだと思った。

『別に何もないが』

「そっか」

いきなり深くは聞いてこないところもボッスンだ。
だがきっと、避けてることは分かってもその理由までは知らないはずだ。
そういうところは鈍感なのだから。

結局今日の部活はヒメコが来ず、無音の空間が続いたままだった。


「なあ、」

畳に寝転がり、こちらに背を向けたままのボッスンが呟いた。

「仲間に相談できないような悩みか?」

『仲間…』

「仲間だろ」

『仲間、か』


あくまで仲間。
それは誰に対しても同じなのだろう。

『ボッスンは、』

「ん?」

『ボッスンは、ウルトラヘブンで好きなキャラはいるか?』

背を向けていたボッスンがこちらを向いた。

「好きなキャラ?うーん…そうだなー…オレはみんな好きだぜ?」

『…』

「ああでも敵キャラはあんまり好きになれないかもな」

『…そうか』


みんな好き、でも敵は許さない。
その正義が、ボッスンなのだ。

そうだ。オレはその正義に救われ、憧れたのだ。
嫉妬するくらい好きなこの気持ちは、最初の恩には適わない。
ああ、なんか自分が馬鹿みたいじゃないか。


『ボッスン、』

「ん?」

『ありがとう』

「なんだよ」

『なんでもない』

「あっそ」






[end]

バカな私には難題でした。
しかしこれは真剣に考えなければいけないぞ、と。
結果的にはもう少し細かい描写を入れれたらよかったなあ…と後悔。

リクエストありがとうございました!





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -