クラスマッチ 「あ、ヒメコちゃん!」 運動場でドッジボールの試合を終え、体育館に入れば男子のバスケの試合が行われているようで、それを見ていたクラスの群の中にいたキャプテンに話し掛けられた。 「なんなんアレ」 「フリースローよ。これが決まればほぼ勝ちなんじゃないかしら」 どうやらファウルされたらしい。 「アイツが?入るわけないやん」 ゴールに狙いを定めるボッスンの真剣な表情が見える。 ゴーグルがあったなら入っただろうが、今は帽子もゴーグルもしていない。 外して涙目になる姿が目に浮かんだところでボールが山なりに放たれてゴールに跳んだ。 ボールは音を立ててゴールに吸い込まれ、歓声が上がった。 アイツ…意外とやんねんな… 止まない歓声の中、暫くして試合が終了した。 試合に出ていたクラスメイト達が応援をしていた自分たちのもとへ戻ってきた。 お疲れー!、やったね、と声を掛けられているボッスンに先ほど買っておいた飲み物を渡す。 「おお、気が利くな!」 キャップを開け一気に水分を摂るボッスンは汗だくだった。 「タオルないん?」 「あー教室に忘れてきた」 半袖の袖で額の汗を拭うボッスンに自分の持っていたタオルを渡した。 「暑苦しいねん。はよ拭け」 ボッスンは、じゃあ遠慮なく、と首や額の汗を拭った。 「そういやお前バスケ出来たんやな」 「ん?ああ、哲平に教わったんだ。どうせやるなら勝ちたいしな」 「最近部室来んかった理由はそれやったんか」 「おかげで大活躍だぜ!フリースローとかかっこよかっただろ?」 「かっ…!?な…」 「かっこよかったわよ!ね?」 隣にいたらしいキャプテンに同意を求められ思わず、せやな…と口から出ていた。 クラスマッチ |