風に乗る香り 「ミチルってさ、いい匂いするよな」 -----風に乗る香り 帰り道、安形の右隣を歩きながら他愛もない話をしていたら唐突に告げられた。 右から吹く風が涼しい。 「安形が言うとすごい気持ち悪い」 「じゃあなんて言えばいいんだよ」 「何も言うな」 「ひでーな!褒めてんのに」 香水の類はあまりつけない。ただ、ワックスだったりスプレーだったりボディクリームだったりリップパフュームだったりはつけている。 「安形はなんか頭以外臭そうだよね」 「なんなんだお前さっきから!グサグサくるんだよ!」 「頭はワックスの匂いね。オレこの香り好きなんだよねえ」 「ミチルも同じの使えばいんじゃねーの」 「ハードワックスは遠慮しとくよ」 「それもそうか」 「そうだよ」 「ミチルはそのふわふわあたまが一番だよな」 「やっぱり?」 「キスするときに触ると気持ちいいし」 「…」 「いい匂いするし」 「…」 「なんかこう、」 「…」 「そういう気分になるんだわ」 「…」 「…なんだよ」 「いや別に」 別に、この雰囲気のままキス仕掛けたらどうなるかな、とか考えたわけじゃない 「安形」 「何だよ」 ポケットから小さめの丸いケースを取り出して、前を見て歩く安形をこちらに向かせる。 「うおっ」 「こうしたらさ、そういう気分になるわけ?」 安形にリップパフュームをつけてやった。 口ではなく鼻の下に。 「なるっつったらどうなんだよ」 「さあ?」 右から吹く風に逆らって、果実の爽やかで甘い香りがした。 [end] 短いうえにテンプレ通りな感じになってしまいました、すいません 安形を爽やかな変態にしたかったのと、 リップパフュームネタをやりたくてこうなりました。 榛葉さん小悪魔! リクエストありがとうございました!! |