∵ 朝食推理

榛藤





廊下をノロノロ歩いていればトントン、と後ろから肩を叩かれた。

「やあ」
随分と久しぶりの相手にどうしたらいいか分からない。
「朝何食べた?」
「は?なんだよいきなり」
「当ててあげようか!」
「唐突過ぎるだろ…」

「当たったらオレと放課後約束してくれる?」
「は?なにを」
「どっか遊びに行こう!」
「はあ…」

「よし!ずばり!藤崎が朝食べたのは、焼きそばパン95円!」
「な…ち、ちげーよ!オレが食べたのはメロンパンだ…!」

「ウソでしょ」
「…あれか、お前オレのストーカーか!」
「違うよ!そんな目で見るのやめて!」
「じゃあなんで知ってんだよ」
「んー…じゃあちょっと後ろ向いてくれる?」
「は?」
「いいから」

何がいいのかよくわからないが言われた通りに後ろを向いた。

「これだよ」
後ろから肩に片手を掛けてもう片手でオレの目の前に何かを差し出した。

「あ!」
榛葉が手に持っていたのは朝食べた焼きそばパンの包装についていたシールだった。
「誰かにつけられたものみたいだったから当たるとは思わなかったけど」
「ルミのヤツ…」

「じゃあ、そういうことで、放課後よろしくね!」


というわけでどうやら今日の放課後はコイツに付き合わなければならないらしい。


(どこ行くんだろ…)



2012.06.26

( prev : top : next )
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -