∵ decide

椿と助人団






「失礼する」

ドアをノックする音が部室に響いた。適当な返事を返せば聞き覚えのある声と姿が現れた。

「お!椿やん!」

「なんだよ書類の催促か?なんかあったっけ」
「相談があって来た」
「相談?」
「珍しなあ」

畳に座るよう促すヒメコに従って椿はこちらへ歩を進めた。

「で、相談は?」
「手短に言うと丹生への誕生日プレゼントを一緒に考えて欲しい」
「誕生日?」
「ミモリン誕生日なん?いつ?」
「明日だ」
「明日?」
「おめーそれもっと前に言えよ」
『まあオレは知っていたがな』


「ミモリンかー」
「何あげても喜びそうだよなーあの人」
「優しいからなあミモリンは」
「やっぱ見たことないものとか食べたことないものが妥当だろ」
「お金持ちが見たことないもんてなんやねん」

「んーそうだな…UFOとか!」
『焼きそばか?』
「ちげーよ!いや、カップ麺とか食べたことなさそうだけど」
「プレゼントにカップ麺はアカンやろ」

「じゃあ宇宙人」
「一緒やないか!無理や!」

『駄菓子はどうだ?』
「おお!それや!さすがスイッチ!」
「確かに昔ながらのなんたらみたいなの食べたことなさそうだよな」
「よし!ほんならちょお駄菓子屋行こ!な!」
「お、いいなそれ!」
「ちょ、ちょっと待て!」
「なんだよ」
「本当にそれで丹生は喜ぶのか?」
「お前から相談しといてなんなんだよ。いいから早く帰り支度して来いよ」
「まさか寄り道をするのか?」
「当たり前だろ」
「当たり前だと!?」
「あーもううるせーな!誕生日明日なんだろ?店閉まっても知らねーぞ」
「…仕方ない。今回だけは…」
「もういいから早く行け」
「では、昇降口で待っていてくれ」
椿はピシャッとドアを閉め生徒会室へと戻っていった。

「相変わらずかったいなあ」
「オレらも支度しようぜ」
「せやな」



decide


2012.05.20
( prev : top : next )
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -