∵ おはよう

寝ていた。
いつものように。
生徒会室で。
会長席で。

「おわっ!?何してんだミチル!!」
目が覚めたら、膝の上にミチルが乗っていた。
「見て分かるでしょ」
「いや、なんで?」
「寝てたから」
「理由になってないぞ、それ…」

壁にぶつかるまで椅子が動く。バランスが取りにくい。
「おはよう」
「おはようっつーかおそよう?」
窓の外はもう薄暗く、下校中の生徒の声が聞こえた。

手の甲で目を擦ると同時に唇に触れる温かい感触。
「濃厚なのじゃなきゃ目ぇ覚めないぞー」
「じゃあ一生寝てなよ」
呆れて膝から降りようとするミチルを引き止める。
「なあ、」
「何?」
「今日お前ん家行ってもいいか?」
「…なんで?」
「久しぶりにミチルの手料理食べたいなー、と」
「ふーん…何が食べたい?」
「ミチル」




2011.07.11

( prev : top : next )
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -