∵ 誕生日まであと3日





結局何をプレゼントするか決まらないままデパートに来ていた。
何か見つかるかもしれない、と色々見て回っていたのだ。


「やっぱアンタがまたフィギュア作ったらええんちゃう?」
「あいつの希望が分かんねえうえにあと3日だぞ!?」
「せやなーんー…あ、イヤホンとかどや?スイッチいっつもヘッドホンやし」
「アイツはまたこだわり激しいかんなー文句言われんじゃねえか?」
「じゃあやっぱメカとかちゃう?」
「お前真面目に考えてるか?」
「考え過ぎて頭おかしくなってきとんねん」

「お、これなんかどうだ?」
「ん?なんやこれ」
「マウスパッドだ」
「…おお!ええんちゃう?これならスイッチも…いや、ちょお待ち、これスイッチすでに持っとったらどうするん?」
「別の柄の探すか、作るかだな」
「作れるん?これ」
「作れそうじゃね?」
「ちょお調べてみるわ」
そう言ってヒメコは携帯で調べ始めた。


「『マウスパッド手作りキット』これええんちゃう?」
「おお、それだ!」
「『写真やイラストを印刷して…』これなら出来そうやな!」
「で、どこに売ってんだ?」
「ネットやろ」
「バカかお前誕生日3日後だぞ!?」
「せやったな」
「どっか売ってないか調べてくれ」

「あ、アカン充電切れてもーた」
「は?仕方ねえなーじゃあオレの携帯で…あれ、充電切れてる…」
「マジか!?」
「昨日充電すんの忘れてた」
「おいおいどうすんねん」

「ちょうどあそこに充電器売ってんぞ」
「じゃあ買ってきいや」
「なんでオレ!?」
「アタシ金欠やねん」
「じゃあネカフェか」
「だから金無い言うとるやろ!」
「じゃあどうすんだよ」

「だいたい、マウスパッド作んのにプリンターとかいるんちゃうかった?」
「あるぜ、母ちゃんのだけど」
「ほんならええけど」
「よし、家行こう」
「は?」
「うちパソコンあんだよ。母ちゃんのだけど。それで調べたらいいんじゃねえの?」
「また買いに出てくることになんねんで?」
「充電器買わされるよりマシだ」
「アンタも金欠か」
「学生は皆常に金欠なんだよ」
「例外もおるけどな。ミモリンとか」
「あの人は規格外だろ」

「あ、ちょおアンタん家行く前にこの辺のそれっぽい店覗いとこーや!もしかしたらあるかもしれへんで?」
「そんな簡単に見つかるわけな…お、あった」
「マジか!?展開早いなおい!」

「しかも安っ!もっとするかと思った」
「じゃあアンタの奢りやな」
「なんで!?」
「冗談や。さすがにプレゼント奢りはアカンやろ」
「こんなに安いプレゼントでいいのか?」
「お菓子とかつけといたらええねん」
「ハムとか洗剤とか?」
「御歳暮ちゃうねんぞ!」


「とりあえず金払っちゃおうぜ」

「なあ、結局マウスパッドの柄どうするん?」
「明日になれば分かる」
「なんや今日教えてくれへんのかいな」



誕生日まであと3日


2012.02.27

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